Mk 48 (ミサイル発射機)

Mk.48 垂直発射システム

Mk.48 垂直発射システムは、個艦防空ミサイルであるシースパロー（ESSMを含む）のために開発されたミサイル垂直発射システムであり、発射機単体ではMk.164と呼称されます。Mk.41垂直発射システムの小型・軽量化版と見なすことができます。

通常「VLS」と呼ばれる場合、Mk.41に代表される甲板埋め込み型を連想することが多いですが、Mk.48はファランクスのように甲板をくり抜くことなくボルト止めで設置される点が特徴です。甲板下に埋め込む方式は艦の重心への影響が小さいという利点があります。

Mk.41とは異なり、Mk.48では固定式のミサイル・セルは使用されていません。ミサイルを収容するキャニスター、排炎筒、各種制御装置や補機類で構成されています。排炎筒や補機類の配置により、複数のモデルが存在します。

各モデル

Mk.48 Mod.0

最も初期に開発された基本型で、甲板上に設置されます。2セルで1組となっており、2本のキャニスターが2本の排炎筒を挟んで配置されます。ミサイル・キャニスターは露出した状態で設置されます。

1セット（2セル）のサイズは全高478cm×全幅220cm×奥行き132cm、16セルでは重量15,942kgです。ESSM対応改修されたものはMod.4と呼ばれます。

Mk.48 Mod.1

上部構造物に隣接して甲板上に設置されるモデルです。Mod.0と同様に2セルで1組ですが、セルの下方にL字型の排炎筒が設けられており、排炎は側面に向かって行われます。

1セット（2セル）のサイズは全高465cm×全幅173cm×奥行き132cm、16セルでは重量13,278kgです。

Mk.48 Mod.2

甲板内に収容できるよう、Mod.0の構造を基本として16セルを1つのモジュールにまとめたものです。

1セット（16セル）のサイズは全高474cm×全幅477cm×奥行き417cm、重量17,648kgです。ESSM対応改修されたものはMod.5と呼ばれます。

Mk.48 Mod.3

1,000トン未満の小型艦にも搭載できるよう小型化されたモデルで、6セルを1つのモジュールとしており、補機類も簡素化されています。

1セット（6セル）のサイズは全高495cm×全幅376cm×奥行き284cm、重量8,296kgです。

ミサイル・キャニスター

従来は垂直発射型シースパローを1発のみ収容するMk.20が使用されてきました。キャニスター上面は、従来型のMk.29 GMLSと同様にプラスチック製の蓋で覆われています。

発射時には、バックブラストは排炎筒から排出され、ミサイルはプラスチック製の蓋を破砕して飛翔します。ESSMの開発に伴い、ESSMを2発収容できるデュアル・パックも実用化されています。

Mk.48を基にデュアル・パックを採用した改良型としてMk.56が開発されていますが、既存のMk.48にも同様にデュアル・パックを適用可能であり、この場合はDP-48と称されることがあります。

搭載艦

カナダ海軍：ハリファックス級フリゲート (Mk.48 Mod.0→4)
海上自衛隊：むらさめ型護衛艦（Mk.48 Mod.0→4）
大韓民国海軍：広開土大王級駆逐艦（Mk.48 Mod.2）
ギリシャ海軍：イドラ級フリゲート（Mk.48 Mod.2→5）
オランダ海軍 / ベルギー海軍 / ポルトガル海軍 / チリ海軍：カレル・ドールマン級フリゲート（Mk.48 Mod.1）
デンマーク海軍：フリーヴェフィスケン級哨戒艇（Mk.48 Mod.3）、ニールス・ユール級コルベット（Mk.48 Mod.3）、アブサロン級多目的支援艦（Mk.56 Mod.3）、アイヴァー・ヒュイトフェルト級フリゲート（Mk.56 Mod.3）
アラブ首長国連邦海軍：バイヌナ級コルベット（Mk.56）

参考文献

NATO SEASPARROW Surface Missile System Project(www.natoseasparrow.org) (2005年). “NATO Seasparrow Consortium Products Handbook” (PDF)

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