Morning Glory (アルバム)

『Morning Glory』（モーニング グローリー）は、日本のシンガーソングライター、竹内まりやのディスコグラフィーにおいて、非公式に編纂されたベスト・アルバムの一つです。1990年9月21日に、竹内がかつて所属していたRCA/RVCレコードより発売されました。これは、同レーベルから発表された竹内まりやのベスト・アルバムとしては5枚目にあたりますが、アーティスト本人の監修を経ていない企画盤であるため、「非公認ベスト・アルバム」として位置づけられています。

このアルバムの最大の特徴は、竹内がRCAレーベルに在籍していた1978年から1981年までの期間に発表された楽曲の中から、夫であり音楽プロデューサーでもある山下達郎が、作詞、作曲、または編曲のいずれかの形で制作に関わったとされる楽曲のみが選曲されている点にあります。これにより、RCA時代の竹内まりやと山下達郎の音楽的な共同作業の軌跡を追体験できる編集盤となっています。

発売当時のオリジナル盤は1990年にリリースされましたが、2025年現在、市場で一般的に入手可能なのは1997年に再発売されたバージョンのみとなっています。

商業的な成績としては、オリコン週間アルバムチャートで最高48位を記録しました。チャートへの登場は合計で5週間に及び、累計で約2.1万枚のセールスを上げています。これは、アーティスト本人の公認ではない企画盤としては、一定の商業的成功を収めたと言えるでしょう。

本作には、竹内まりやのRCA時代を代表するシングルやアルバムからの楽曲が多数収録されています。以下に収録曲リストと、それぞれの初出情報、そして山下達郎の関与を示唆する記号（🖋️：作詞、♫：作曲、♪：編曲）を記します。

夏の恋人 （🖋️♫）
1枚目のオリジナル・アルバム『BEGINNING』（1978年）より。
涙のワンサイデッド・ラヴ （♪）
3枚目のシングル『September』（1979年）のB面曲。
ブルー・ホライズン （♫♪）
2枚目のオリジナル・アルバム『UNIVERSITY STREET』（1979年）より。
ドリーム・オブ・ユー 〜レモンライムの青い風〜 （♪）
2枚目のシングル『ドリーム・オブ・ユー 〜レモンライムの青い風〜』（1979年）のアルバム・バージョン。2枚目のオリジナル・アルバム『UNIVERSITY STREET』に収録されています。
さよならの夜明け （♫）
4枚目のシングル『不思議なピーチパイ』（1980年）のB面曲。
Every Night （♫）
4枚目のオリジナル・アルバム『Miss M』（1980年）より。
Morning Glory （🖋️♫）
6枚目のシングル『Sweetest Music』（1980年）のB面曲（アルバムタイトルと同名異曲）。
ラスト・トレイン （♫♪）
5枚目のオリジナル・アルバム『Portrait』（1981年）より。
悲しきNight & Day （♪）
7枚目のシングル『イチゴの誘惑』（1981年）のB面曲。
リンダ （♪）
アン・ルイスへの提供曲のセルフカバー。5枚目のオリジナル・アルバム『Portrait』に収録されています。
ウエイトレス （♫♪）
5枚目のオリジナル・アルバム『Portrait』より。
Special Delivery 〜特別航空便〜 （♪）
8枚目のシングル『Special Delivery 〜特別航空便〜』（1981年）のA面曲。

これらの楽曲からは、当時の日本のAORやシティ・ポップのサウンドが感じられ、竹内まりやの初期のヴォーカルスタイルや楽曲の幅広さ、そして山下達郎のプロデュースワークやアレンジの手法を同時に楽しむことができます。

RCA/RVCからは、本作以外にも複数の非公認ベスト・アルバムがリリースされています。主なものとしては、『RE-COLLECTION』、『RE-COLLECTION II』、『RE-COLLECTION III』、そして『Best Pack』といったタイトルが存在します。これらのアルバム群は、レコード会社が独自の企画で編集・販売したものであり、公式にアーティストが監修したベスト盤（例えば『Expressions』など）とは異なる位置づけであることを理解しておく必要があります。

『Morning Glory』は、公式なディスコグラフィーには含まれないものの、竹内まりやのRCA時代の活動、特に山下達郎との密接な関係性によって生まれた楽曲に焦点を当てた貴重なコンピレーションです。現在は主に1997年の再販盤を通じて、当時の音楽シーンの一端と二人のアーティストの初期のコラボレーションを知る手がかりを提供しています。

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