NetFront Browser

NetFront Browser（ネットフロントブラウザ）は、株式会社ACCESSが開発した組み込み機器向けのウェブブラウザです。その最大の特徴は、携帯電話、PDA、ゲーム機、セットトップボックス、カーナビゲーションシステムなど、多岐にわたるデバイスに搭載されていることです。

柔軟な設計と機能

NetFront Browserは、モジュール化された設計を採用しており、必要な機能のみを選択して実装できる柔軟性を備えています。これにより、リソースが限られた組み込み機器でも効率的に動作することが可能です。また、Adobe社との共同開発により、Adobe Reader LEやAdobe Flash Playerといった機能も移植されており、多様なコンテンツに対応できます。

独自の進化と高速化

NetFront Browserは、主要なHTMLレンダリングエンジンの中で唯一PC版を提供していませんが、組み込み機器向けに特化した独自の進化を遂げています。例えば、JavaScriptエンジンの高速化が図られており、SunSpiderのベンチマークテストでは大幅な速度向上が確認されています。ただし、JITコンパイラは搭載されていないため、JITを搭載した他のエンジンと比較すると速度面で劣る部分もあります。

対応機能

NetFront Browserは、以下の主要なウェブ技術に対応しています。

HTML4.01、XHTML1.1、cHTML、XHTML Mobile Profile 1.2、WML 1.3、SVGT-1.2、SMIL 2.1、RSS feed（RSS 0.9/0.91/0.92/1.0/2.0、Atom 0.3/1.0）、HTML5の一部
CSS1、CSS2.1、CSS3（一部対応）、CSS MP1.1
ECMAScript Mobile Profile、ECMAScript 262 3rd Edition（JavaScript 1.5相当）
DOM Level1、Level2、ダイナミックHTML、Ajax（XMLHttpRequest）
キャッシュ、遷移ヒストリ、オフラインブラウジング、ストリーミングダウンロード
Direct ConnectTM（デバイス監視・制御機能）、Rapid-RenderTM、Smart-Fit RenderingTM、RtoL Rendering（右から左の言語表示）
各種画像フォーマット（GIF、JPEG、PNGなど）
国際化対応、HTTP cookie、HTTP1.1、SSL、TLS、SSLクライアント認証機能、OMA DRM
IPv4/IPv6デュアルTCP/IPプロトコルスタック
プラグイン、ヘルパーアプリケーションによる機能拡張

主な搭載機器

NetFront Browserは、以下のような様々な機器に搭載されています。

ソニー・コンピュータエンタテインメント：PlayStation BB Unit、PlayStation Portable、PlayStation Vita、ウォークマンXシリーズ
任天堂：64DD、ニンテンドーDS、ニンテンドー3DS
Windows CE/Pocket PC/PDA：ヒューレット・パッカード iPAQ、カシオ計算機 カシオペア、シャープ ザウルス
Palm OS搭載機
各社携帯電話・PHS
各社カーナビゲーションシステム
* その他情報家電

独自拡張

NetFront Browserには、`window.eajax.gc()`でJavaScriptのGCを呼び出すなど、一部独自拡張機能も搭載されています。これらの機能は、特定の環境下での最適化や機能拡張に役立っています。

その他の情報

NetFront Browserには、WebKitをブラウザエンジンとして利用したNetFront Life BrowserやNetFront Browser NXといった派生製品も存在します。

2013年10月現在、Net Applicationsの調査によると、NetFront Browserの世界シェアは0.05%とされています。

以上のように、NetFront Browserは組み込み機器向けに特化した多様な機能と柔軟性を持つウェブブラウザとして、多くの機器で利用されています。

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