Netscape (Mozillaベース)

Netscape（ネットスケープ）は、かつて隆盛を誇ったウェブブラウザで、Mozillaをベースに開発されました。Netscapeシリーズとしては、バージョン6と7が存在します。

歴史

Netscapeブランドのウェブブラウザの市場シェア回復を目指し、ネットスケープコミュニケーションズ主導でMozillaプロジェクトが推進されました。2000年11月14日には、その成果として、複数プラットフォーム対応やW3C勧告準拠を目指したバージョン6.0がリリースされました。しかし、このバージョン6.0は、Mozillaプロジェクトの遅延により、まだ完成度が低いMozilla Milestone 18を基盤としており、起動時間の長さや動作の緩慢さ、多数のバグが問題となりました。また、このバージョンに対応する拡張プラグインの開発も停滞し、市場シェア回復には至りませんでした。

2002年8月29日には、Mozilla 1.0.1をベースとしたバージョン7.0がリリースされました。このバージョンは6に比べると安定性が向上し、実用レベルに達しました。しかし、Mozillaで実装されていたポップアップブロック機能が無効化されていたため、ユーザーからの不評を買いました。同年12月には、ポップアップブロックを有効にしたバージョン7.01がリリースされ、この問題は解消されました。

2003年6月30日には、Mozilla 1.4をベースにバージョン7.1がリリースされました。このバージョンでは、Find As You Type（インクリメンタルサーチ）やベイジアンフィルタによる迷惑メール自動判定機能、国際化ドメイン名サポートなどが追加されました。しかし、このリリースの前に、AOLとマイクロソフト間の反トラスト法訴訟の和解（AOLがInternet Explorerの技術ライセンスを受けるという内容を含む）や、ネットスケープ開発部門の解体、Mozilla Foundationの設立（MozillaがNetscapeから完全に独立）があり、バージョン7.1がNetscapeとしての最後のウェブブラウザになると予想されました。その後、熱心なユーザーからNetscapeブラウザの継続リリースを求める署名活動が起こりました。

2004年4月、AOLはNetscapeの復興を計画していると発表し、同年8月17日にはMozilla 1.7.2をベースとしたバージョン7.2がリリースされました。

2001年にネットスケープコミュニケーションズの日本法人が撤退したため、日本語版はNetscape 7.1を最後にリリースされておらず、公式ホームページの更新も停止しています。このため、Mozilla 1.4以降に見つかったセキュリティホールが、Netscape 7.1日本語版にも存在することになります。しかし、有志によって非公式の翻訳が行われ、7.2用の日本語化パックが公開されています。

バージョンの変遷

以下に、Netscapeの各バージョンの変遷を示します。

6.0 - Mozilla Milestone 18ベース (2000年11月14日)
6.01 - Mozilla 0.7ベース(2001年2月9日)
6.1 - Mozilla 0.9.2.1ベース(2001年8月8日)
6.2 - Mozilla 0.9.4.1ベース(2001年10月30日)
6.2.1 - Mozilla 0.9.4.1ベース
6.2.2 - Mozilla 0.9.4.1ベース
6.2.3 - Mozilla 0.9.4.1ベース(2002年5月15日)
7.0 - Mozilla 1.0.1ベース(2002年8月29日)
7.01 - Mozilla 1.0.2ベース(2002年12月10日)
7.02 - Mozilla 1.0.2ベース(2003年2月18日)
7.1 - Mozilla 1.4ベース(2003年6月30日)
7.2 - Mozilla 1.7.2ベース(2004年8月17日)

Netscapeは、ウェブブラウザの歴史において重要な役割を果たし、その技術はMozillaやFirefoxへと引き継がれていきました。バージョン6と7の変遷を振り返ることで、当時のウェブブラウザ開発の動向や技術的な課題を知ることができます。日本語版のサポートが終了している点は注意が必要ですが、有志による活動により一部は補完されています。

もう一度検索