Netscape Public License

Netscape Public License（NPL）とは

Netscape Public License（NPL）は、ネットスケープコミュニケーションズがMozillaプロジェクトのために作成したライセンスです。このライセンスの最大の特徴は、Mozillaのオリジナル開発者であるNetscape（後にAOL傘下）に、他の貢献者による修正を自由に扱う権利を認めた点にあります。具体的には、Netscapeは他の貢献者の修正をプロプライエタリ（独占的）に変更することも含め、自由に利用することができました。しかし、この権利はNetscapeにのみ与えられ、他の貢献者には同様の権利は認められていませんでした。

この非対称性こそが、NPLがオープンソースおよび自由ソフトウェアコミュニティから大きな批判を受ける要因となりました。コミュニティは、貢献者間の権利が不平等である点を問題視し、NPLを自由ソフトウェアの理念に反するものと見なしました。

NPLの批判と影響

フリーソフトウェア財団（FSF）は、NPLを「自由ソフトウェアライセンスではあるが利用を避けるべきもの」と位置づけました。FSFは、NPLがGNU General Public License（GPL）と互換性がないライセンスであることも指摘しました。これは、GPLでライセンスされたソフトウェアにNPLのコードを組み込むことができないことを意味し、ソフトウェアの相互運用性を阻害する要因となりました。

また、Open Source Initiative（OSI）は、NPLをオープンソースライセンスとして承認しませんでした。このことは、NPLがオープンソースの定義を満たさないと見なされたことを意味し、その信頼性をさらに低下させました。

これらの批判は、NPLが広く普及することを妨げ、最終的にはMozilla Public License（MPL）など、より公平なライセンスへと移行する流れを生み出しました。

Mozilla Public License（MPL）との関係

Mozilla Public License 1.1（MPL 1.1）は、NPLの問題点を解消するために開発されました。MPL 1.1は、NPLと同様にMozilla関連のプロジェクトで利用されることを意図していましたが、前述の非対称性はありません。すべての貢献者が、自身の修正を自由に利用できる権利を有しています。これにより、より公平でオープンな開発環境が実現しました。

Time Warnerは、以前NPLに基づいてMozillaのコードを利用する権利を持っていましたが、Mozilla Foundationの要請に応じ、NPLでライセンスされていたコードをMPL 1.1、GPL 2.0、LGPL 2.1のトリプルライセンスで再ライセンスしました。この再ライセンスによって、NPLの制約から解放され、より幅広いコミュニティがMozillaのコードを利用しやすくなりました。

まとめ

Netscape Public License（NPL）は、Mozillaプロジェクトの初期段階で使用されたライセンスですが、その非対称性から多くの批判を受けました。この批判は、より公平なMozilla Public License（MPL）の開発を促し、オープンソースコミュニティの健全な発展に貢献しました。NPLの歴史は、ライセンスの設計がソフトウェア開発コミュニティに与える影響の重要性を示しています。

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