New Horizon (松本孝弘のアルバム)

松本孝弘『New Horizon』詳細解説

B'zのギタリスト、松本孝弘が2014年に発表した10枚目のオリジナルアルバム『New Horizon』は、彼のソロワークの中でも特に重要な位置を占める作品です。前作『Strings Of My Soul』から約2年ぶりとなるこのアルバムは、過去の自身の楽曲やカバー曲が中心だった近年の作品の流れを大きく変え、2002年の『西辺来龍 DRAGON FROM THE WEST』『華』以来、実に12年ぶりとなる完全な新作オリジナルアルバムとしてリリースされました。

アルバムの概要

本作には、アルバムタイトルにもなっている「New Horizon」をはじめ、B'zのライブで先行披露された「Rain」、アニメ主題歌として制作された「BLACK JACK」のリアレンジバージョンなど、全12曲が収録されています。また、ジャズスタンダードの「Take Five」や、桑名正博の「月のあかり」、ガロの「学生街の喫茶店」といった幅広いジャンルのカバーも収録されており、松本の音楽的なルーツと新たな挑戦が感じられます。

特典と制作

アルバム購入者特典として、抽選でアナログレコード盤がプレゼントされるキャンペーンも実施されました。制作は2012年に開始され、レコーディングではギブソン・ファイヤーバード、チェンバーボディのギブソン・レスポール、フェンダー・ストラトキャスターといった様々なギターが使用されました。特にファイヤーバードの使用は、ギターテックからの提案によるもので、松本自身もその斬新なサウンドとバランスの良さに感銘を受けたと語っています。

松本孝弘の反省点

しかし、次回作『enigma』リリース時のインタビューで松本は、『New Horizon』の制作時、ファイヤーバードの使用に固執したため、どの曲も似たようなトーンになってしまったという反省点も述べています。この経験が、次作以降の制作に活かされたことは想像に難くありません。

チャートと受賞

発売初週には1.8万枚の売り上げを記録し、オリコンウィークリーチャートで初登場3位を獲得しました。これは、ラリー・カールトンとの共作アルバム『TAKE YOUR PICK』以来、約3年11ヶ月ぶりのTOP3入りであり、ソロ名義のインストゥルメンタルアルバムとしては、『Wanna Go Home』以来、約22年ぶりの快挙となりました。さらに、第29回日本ゴールドディスク大賞では、インストゥルメンタル・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、その音楽性の高さが評価されています。

収録曲

日本国内盤と米国盤では、1曲目と2曲目の順序が異なり、米国盤では曲名が英語に変更されています。以下は、日本国内盤の収録曲です。

1. New Horizon: アルバムタイトル曲であり、佐川急便のCMソングとして書き下ろされました。
2. Take 5: ジャズのスタンダードナンバー「テイク・ファイヴ」のカバー。松本にとっては2度目のカバーとなります。
3. Feel like a woman tonite: 女性シンガー、ウェンディ・モートンをフィーチャーした楽曲です。
4. Rodeo Blues:
5. Island of peace: ハワイをイメージした楽曲で、後にダニエル・ホーとの共作アルバムに別アレンジで収録されました。
6. That's Cool:
7. Shattered Glass: 松本が制作のストーリーを語るブックレットが付属しています。
8. 月のあかり: 桑名正博の代表曲のカバー。松本はかつて桑名のサポートメンバーを務めており、感謝と追悼の意を込めてカバーしました。
9. Reason to be...
10. BLACK JACK: アニメ「ブラック・ジャック」のテーマ曲のリアレンジバージョン。過去に制作されたバージョンとは異なる、新たな解釈が加えられています。
11. 学生街の喫茶店: ガロのヒット曲のカバー。松本はこの曲のメロディの面白さに惹かれ、インストゥルメンタルとして表現しました。
12. Rain: B'zのライブツアーで先行披露された楽曲です。

タイアップ

アルバム収録曲「New Horizon」は、佐川急便のCMソングとして使用されました。

参加ミュージシャン

松本孝弘をはじめ、寺地秀行、ポール・ブラウン、DAX REYNOSA、下田逸郎、桑名正博、山上路夫、ポール・デスモンド、すぎやまこういち、グレッグ・アダムス、リー・ソーンバーグ、グレッグ・ベイル、小野塚晃、ルー・レイン、トラヴィス・カールトン、デヴィット・イノス、ブライアント・シオノ、バリー・スパークス、ジョン・フェラーロ、シェーン・ガラース、レニー・カストロ、石川寛子&Lime Ladies Orchestra、ウェンディ・モートンなど、豪華なミュージシャンが参加しています。

『New Horizon』は、松本孝弘のギタリストとしての才能と、音楽的な幅広さを存分に堪能できる作品であり、彼のキャリアの中でも重要なターニングポイントとなったアルバムと言えるでしょう。

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