NOTTV

NOTTV（ノッティーヴィー）とは

NOTTVは、2012年4月1日から2016年6月30日までの間、NTTドコモが運営したスマートフォン専用のマルチメディア放送サービスです。この放送は、移動受信用地上基幹放送に分類され、デジタル放送規格「ISDB-Tmm」を使用していました。地上アナログテレビ放送が2012年3月末に停波したことに伴い、その周波数帯を利用する形で登場しました。

運営と視聴方法

NOTTVは、NTTドコモの関連企業であるmmbiが基幹放送事業者として、同社の子会社であるジャパン・モバイルキャスティング（Jモバ）がその放送を提供しました。東京を中心に全国各地で放送を行っていました。視聴するには、対応端末または外部チューナーを用意し、NTTドコモと契約する必要がありました。コールサインには「JOMZ（東京）」が指定されていました。

NOTTVという名称には「これまでのテレビとは異なる」という意味が込められ、さらには「ビデオ・オン・デマンドとも違う」とも表現されていました。具体的には「not tv」という語の背後には新たな視聴スタイルへの挑戦が感じられました。

チャンネル構成

当初、NOTTVは有料の3チャンネル（NOTTV1、NOTTV2、NOTTV NEWS）でスタートしましたが、2014年7月からは有料2チャンネルと無料2チャンネルが設定され、合計4つのチャンネルが利用可能になりました。2015年4月には、NOTTV3とNOTTV4が終了し、Jモバによる他の有料テレビチャンネルと統合された「NOTTVパック」の提供が開始されました。このパックによって、視聴者はフジテレビ関連のチャンネルやアニマックスなど、合計で6チャンネルを視聴することができるようになりました。

経営難とサービス終了

しかし、NOTTVは放送開始時の期待とは裏腹に、経営が厳しい状況に追い込まれました。特にネット回線の発展と動画配信サービスの台頭により、ユーザー数や契約数が低迷しました。放送開始から4年間で累積赤字は約996億円に達し、2016年11月にはサービス終了の発表がなされました。実際、放送は2016年6月30日に終了し、視聴者向けの最終番組が放送される形で幕を閉じました。これにより、NOTTVはマルチメディア放送として初の廃止及び地上波デジタルテレビ放送初の廃止となりました。

放送技術と品質

NOTTVで使用されたISDB-Tmm方式は、MPEG-4 AVC/H.264コーデックを採用しており、リアルタイム放送では720×480ドットの画質が、また「シフトタイム視聴」サービスでは1280×720のハイビジョン画質が提供されました。市場で、「ワンセグ放送」に比べ約10倍の高品質を謳っていたものの、実際にはビットレートによって品質が左右される面もありました。

結び

NOTTVは、日本でのスマートフォン向けの新しい視聴体験を提供しようとした一方で、競争が激化する中で短い間に幕を下ろしました。スマートフォンの普及とネット動画配信の流行により、伝統的な放送形態が再考されるべき時代が近づいていることを示唆しています。

もう一度検索