OTCIXS

OTCIXS（Officer in Tactical Command Information Exchange System）

OTCIXSは、アメリカ海軍が任務群の指揮・統制に利用するために開発した衛星通信システムです。このシステムは、戦術指揮官（Officer in Tactical Command, OTC）に対して超水平線通信を実現し、戦術部隊の行動範囲を大幅に拡大することを目指しています。

当初、OTCIXSは単なる衛星通信によるテレタイプ端末として機能していましたが、その後、ジェリー・O・タトル提督によって開発された革新的な作戦級C4IシステムであるJOTSにおいて、基幹的な通信基盤として統合されました。これは、戦術レベルでの情報伝達を飛躍的に向上させ、任務を成功に導くための重要な要素となりました。

現在、OTCIXSはJOTSから進化したGCCS-Mにおいても、最も重要な通信手段として使用されています。このシステムは、水平線の彼方にある目標を捜索する能力（OTH-T: Over-the-Horizon Targeting）や、トマホークミサイルによる精密攻撃に必要な目標座標の伝達に利用されており、その重要性は増す一方です。

将来的には、OTCIXSはTADIXSフェーズ4によって代替される予定ですが、現段階でも依然として現役で使用されています。

OTCIXSは、RAINFORMと呼ばれる形式のメッセージ（速度2,400ビット毎秒）や、テレタイプ（速度75ビット毎秒）、さらに秘匿音声通話を用いた双方向通信が可能なシステムです。このため、様々な情報のやり取りが容易に行なえます。また、このシステムは、地上からの情報資料を受信する一方向通信の衛星通信システムであるTADIXSとよく組み合わせて使用されます。

OTCIXSの運用には、FLTSATCOMと呼ばれる極超短波帯の衛星通信が利用されており、これにより、信頼性の高い通信が確保されています。また、WSC-2やWSC-3といった衛星通信機、ON-143衛星リンク端末、KG-84A暗号機なども運用に活用され、通信の安全性と効率性が向上しています。

OTCIXSは、アメリカ海軍のC4Iシステムの一端を担っており、戦術的な指揮・統制のための重要な要素となっています。このシステムは、軍事作戦の成功に不可欠な情報通信を支える基盤として、今後もその役割を続けていくことでしょう。

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