PCエンジン mini

PCエンジン mini：往年の名機が手のひらサイズで蘇る

1987年にNECホームエレクトロニクスから発売され、多くのゲーマーを魅了した家庭用ゲーム機「PCエンジン」。その名機が、現代の技術によってコンパクトに生まれ変わり、2020年に「PCエンジン mini」として復活を遂げました。開発には、ゲーム移植で定評のあるM2社と、周辺機器開発で実績のあるHORI社が参加。オリジナルデザインを忠実に再現しつつ、約85％のサイズに縮小された、手のひらサイズの筐体が魅力です。

充実の機能と収録タイトル

「PCエンジン mini」は、単なる復刻版ではありません。現代のゲーム機に求められる機能が多数搭載されています。HDMI出力に対応し、最新のテレビでも快適にプレイ可能。電源はmicro-B USB端子から供給するため、別途市販のACアダプターが必要です。また、当時の「PCエンジンパッド」をUSB接続に対応させたものが同梱。さらに連射機能付きの「ターボパッド for PCエンジン mini」も別売で用意されています。

最大の特徴は、その収録タイトルの豊富さです。PCエンジン、PCエンジンスーパーグラフィックス、PCエンジン CD-ROM²、さらには北米版のTurboGrafx-16タイトルまで含め、合計58タイトルものゲームがプリインストールされています。これには『イースI・II』、『天外魔境II 卍MARU』、『オルディネス』といった人気タイトルも含まれており、往年の名作をいつでも楽しむことができます。

ゲーム画面のサイズは、「スタンダード」、「スタンダード拡大」、「ピクセルパーフェクト」、「ビスタ」、「GTモード」の5種類から選択可能。ブラウン管モニターを再現した「CRTフィルター」も搭載し、懐かしの雰囲気を味わえます。さらに、当時のソフトリセットコマンドを再現した「ゲームメニュー」機能により、セーブ・ロード機能なども利用できます。ただし、ハードウェアの制約から、当時のソフトリセット動作を完全に再現することは不可能です。SUPER CD-ROM²やARCADE CD-ROM²タイトルでは、特定のコマンドでシステムカードのダウングレード起動を再現したり、HuCARDタイトルで隠し要素を解き放ったりすることも可能です。

世界展開と地域差

「PCエンジン mini」は、日本国外でも「TurboGrafx-16 mini」（北米）、「PC Engine CoreGrafx mini」（欧州）として発売されました。基本的な仕様は共通ですが、収録タイトルに一部違いがあります。例えば、日本版に収録されている『天外魔境II 卍MARU』、『ときめきメモリアル』、『スプラッターハウス』は、北米・欧州版では未収録となっています。

その他

本体には「HE-SYSTEM」ロゴが記載されており、これはNECとハドソンの提唱した規格で、PCエンジン関連製品に必ず記載されていたものです。しかし、バーチャルコンソールなどでは使用されていなかったため、本製品はその貴重な事例と言えるでしょう。また、商標権については、KDEとビッグローブが保有しています。

「PCエンジン mini」は、単なるレトロゲーム機ではありません。往年の名作を最新の技術で楽しむことができる、コレクターズアイテムとしても価値の高い製品です。当時のゲーム体験を懐かしむベテランゲーマーにも、初めてPCエンジンに触れる若い世代にも、多くの感動を提供してくれることでしょう。

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