HuCARD

HuCARD：PCエンジンの革新的なゲームカートリッジ

HuCARD(ヒューカード)は、家庭用ゲーム機PCエンジンで使用されていた、画期的なICカード型ROMカートリッジです。三菱樹脂とハドソンによる共同開発によって誕生し、そのコンパクトさと携帯性、そしてPCエンジンGTへの搭載可能性によって、ゲーム業界に大きな影響を与えました。

HuCARDの開発と歴史

HuCARDは、1985年に開発されたMSXおよびPC-98用のICカード型ROMカートリッジ「BEE CARD」をベースにしています。既存のカートリッジと比較して、格段に薄型で小型なため、持ち運びやすく保管も容易でした。このコンパクトさは、後年発売された携帯型ゲーム機PCエンジンGTにも大きく貢献しています。

PCエンジン用メディアとして1987年から供給が開始されましたが、CD-ROM²やSUPER CD-ROM²といった、容量あたりのコストが低いCD-ROMメディアの台頭により、次第にその地位は低下していきました。1994年までにリリースされたHuCARDの総タイトル数は283タイトルに及びます。

HuCARDの物理的な特徴

HuCARDは、黒いROMチップとプリント基板を白いプラスチックカードにはめ込み、樹脂シートでコーティングした構造をしています。電気的接点は露出していますが、金めっき処理と防錆加工が施されています。カード表面にはゲームタイトルなどがカラー印刷され、裏面には注意事項が単色印刷されています。

HuCARDの中には、電子回路や電池を搭載した製品もありました。『ポピュラス』は高度な計算処理のためにRAMを必要とし、PCエンジン本体の8KBのRAMでは不足していたため、HuCARDに電池を搭載したRAMが組み込まれました。このため、電池非搭載のHuCARDよりも厚みが増しています。他にも、スーパーシステムカードやアーケードカードなど、RAMを搭載した周辺機器も存在しました。

パッケージはCDケースをベースとしており、ソフトビニールケースに入ったHuCARD本体が収納されています。初期のパッケージは簡素なものでしたが、後にCDケースの台座部分のみをHuCARD用に変更した、ジャケットや帯が付いたタイプが登場しました。これらのパッケージは、CDラックに収納できるため、省スペースな陳列が可能でした。

HuCARDの容量とタイトル例

初期のHuCARDは2Mbit(256KB)の容量しかありませんでしたが、後に4Mbit(512KB)、8Mbit(1MB)と容量が拡張され、『ストリートファイターII ダッシュ』では最大容量となる20Mbit(2.5MB)に達しました。

容量別のタイトル例は以下のとおりです。

1Mbit (128KB): 『コラムス』、『上海』、『倉庫番ワールド』など
2Mbit (256KB): 『R-TYPE I/II』、『ボンバーマン』、『邪聖剣ネクロマンサー』など
3Mbit (384KB): 『ガンヘッド』、『ダンジョンエクスプローラー』など
4Mbit (512KB): 『源平討魔伝 巻ノ弐』、『スーパースターソルジャー』など
4Mbit (512KB) + SRAM (32KB): 『ポピュラス』
6Mbit (768KB): 『スーパー桃太郎電鉄II』、『雷電』など
8Mbit (1MB): 『パロディウスだ! 〜神話からお笑いへ〜』、『大魔界村』など
20Mbit (2.5MB): 『ストリートファイターII ダッシュ』

周辺機器と非公認製品

HuCARDには、SRAMやバッテリーバックアップ、DRAMを搭載した周辺機器も存在しました。また、NECホームエレクトロニクス非公認製品も存在し、その中にはCD-ROM²システムを不正利用するためのものもありました。

HuCARDの時代とその後

HuCARDはPCエンジンの初期から中期の隆盛を支えましたが、CD-ROM²、SUPER CD-ROM²の高容量メディアの登場により、徐々にその役割を終えていきました。しかし、そのコンパクトさ、携帯性、そして様々なタイトルを支えた歴史は、PCエンジン史において重要な位置を占めています。

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