PIECE OF MY SOUL

WANDS 4thアルバム『PIECE OF MY SOUL』：ロックへの揺るぎない意志と新たな境地

1995年5月10日、WANDSの4枚目のオリジナルアルバム『PIECE OF MY SOUL』がリリースされました。東芝EMIからB-Gram RECORDSへの移籍後第一弾アルバムであり、ボーカルの上杉昇とギタリストの柴崎浩にとって、WANDSとしての最後のオリジナルアルバムという重要な作品となりました。

アルバムのコンセプトと音楽性

本作は、それまでのWANDSのイメージを覆すような、ロック色の強い楽曲が中心となっています。上杉昇は、このアルバムについて「吠えているだけ、攻撃的なのがロックじゃない。繊細さも表現したかった」と語っており、単なる激しいロックサウンドだけでなく、繊細な一面も持ち合わせた作品を目指したことが分かります。

シングル曲を除く収録曲のほとんどは、メンバー自身の作曲によるものです。特にバンドサウンドを前面に押し出した録音方法が特徴的で、ドラムとベースを加えたバンド形態での演奏がアルバム全体を彩っています。このサウンドは、ポップなサウンドを求めるファンとロックなサウンドを求めるファンの間で賛否両論を呼び、後に公式サイトでは「問題作」と紹介されるほどでした。しかし、上杉昇自身は「自分本意かもしれないが、その自分を受け入れられた喜びは大きい」と語っており、強い自信を持って制作に臨んだことが窺えます。柴崎浩もまた、「自分たちがやりたいことを一番わかっている。上杉が歌ってかっこいいもの、メロディーや雰囲気を重視した」と述べており、メンバーそれぞれの強い意志が反映された作品であることが分かります。

レコーディングと制作期間

レコーディングは1994年6月から始まり、1995年2月頃に終了しました。しかし、その後も選曲やミックスなどの細かい作業が続き、完成は3月頃となりました。制作期間が長くなったことについて、上杉昇は「『世界が終るまでは…』で歌詞やテーマが一段落し、歌詞の幅を広げ、曲調も変化していったため、理想を追求した結果時間がかかった」と説明しています。この発言からも、本作が単なる商業的作品ではなく、メンバーの強い意志と理想を追求した結果生まれた作品であることが分かります。

商業的成功と批評

『PIECE OF MY SOUL』は、発売後オリコンチャートで初登場1位を獲得。WANDSのアルバムとしては3作連続のミリオンセラーとなり、第2期WANDSのオリジナルアルバム全てがミリオンヒットという偉業を達成しました。

音楽誌『CDジャーナル』は、「腕利きリズム隊、青山純と渡辺直樹をゲストに迎えた4枚目。シングルヒットの『Secret Night～It's My Treat～』以下、よくこなれたWANDS流ロック歌謡を大展開。ツボを押さえた葉山たけしのアレンジが光る。派手にキメているVoとGのサポートに徹しているKeyの木村氏が健気だ。」と批評しています。この批評からも、バンドの演奏力の高さやアレンジの巧みさ、そしてメンバー間のバランスの良さなどが評価されていることが分かります。

収録曲とその後

アルバムには、多くのシングル曲に加え、メンバーそれぞれの個性あふれる楽曲が収録されています。例えば、「FLOWER」は上杉昇のソロライブでも披露された楽曲で、「妨害への怒り」をテーマにした歌詞が特徴的です。「PIECE OF MY SOUL」は、上杉昇と柴崎浩が共同で作曲した楽曲で、柴崎浩が作成したAメロのモチーフを上杉昇が気に入り、そこから共同制作されたというエピソードも残っています。また、「MILLION MILES AWAY」は木村真也が初めて作曲を手掛けた楽曲であり、後に様々なバージョンが発表されています。

『PIECE OF MY SOUL』は、WANDSの進化と挑戦、そしてメンバーそれぞれの音楽性と個性が凝縮された、まさに集大成とも呼べる作品と言えるでしょう。そのロックサウンドの迫力と、繊細な表現を融合させた音楽性は、今もなお多くのファンを魅了し続けています。

もう一度検索