QGIS
QGIS（キュージーアイエス、旧称: Quantum GIS）は、地理空間情報データの閲覧、編集、分析機能を提供する、クロスプラットフォーム対応のオープンソースGISソフトウェアです。無料で利用できるにもかかわらず、高額な商用GISソフトウェア（代表的なものにArcGIS）に匹敵する機能と操作性を備えている点が大きな特徴です。さらに、無料のプラグインを導入することで、機能を自由に拡張できる柔軟性も魅力です。
QGISは、定期的にバージョンアップが行われ、機能の改善や拡張が続けられています。主なバージョンアップの内容は以下の通りです。
2.0では、旧バージョン1.8から大幅な変更が加えられ、エンジン部分が刷新されました。これにより、将来性のある新エンジンに置き換えられ、PythonプラグインのAPIも大幅に変更されました。また、作業環境の保存場所や設定ファイル名も変更されており、旧バージョンとの互換性は失われました。
2.xでは、Qt4/Py[[Qt]]4およびPython 2.7が利用されていましたが、これらがサポート終了を迎えるにあたり、3.0へのメジャーバージョンアップが計画されました。APIが刷新され、2.xとの互換性は失われました。Python 2とPython 3の間で構文に互換性がないため、多くのプラグインには修正が必要となりました。
QGISは、偶数番号のバージョン（例: 2.18、3.2）がリリースバージョン、奇数番号のバージョン（例: 2.99、3.1）が開発バージョンとして扱われます。新規バージョンは約4ヶ月ごとに公開され、2月、6月、10月頃に実施されています。また、毎月ポイントリリースも行われています。
通常のサポート期間は、次のバージョンが公開されるまでの約4ヶ月間です。ただし、毎年10月頃に公開されるバージョンは、最初の4ヶ月は最新版として扱われますが、翌年2月頃に次のバージョンが公開されると同時に長期リリース版（LTR; Long Term Release）となり、次のLTRが採用されるまでの1年間（合計1年4ヶ月間）サポートの対象となります。
さらに、バージョン3.20からは、リリース番号が".0"のパッケージをリリース候補版として扱い、広くフィードバックを求めるようになりました。リリース候補版は、バージョン番号に「RC」と表記されたり、起動時のスプラッシュ画像に「release candidate」と表示されます。
QGISは、Windows、macOS、Linux/BSDなど、様々なプラットフォームで利用できます。
公式サイトからインストーラをダウンロードできます。インストーラには、ネットワークインストーラとスタンドアロンインストーラの2種類があります。
ネットワークインストーラ: OSGeo4Wのパッケージ管理ツールを利用して、QGIS本体や必要なライブラリをインストールできます。インストール済みのパッケージのアップデートも可能です。ただし、パッケージのバージョン不整合により不具合が生じる可能性があります。
スタンドアロンインストーラ: 一般的なソフトウェアと同様に、インストーラを実行するだけでインストールできます。GRASS GISやSAGA GISのGUIプログラムも同梱されています。複数の異なるバージョンを使い分けることも可能です。ただし、PROJ 8などが含まれるため、ファイル容量が大きいです。
公式サイトからインストーラをダウンロードできます。以前はkyngchaos.comによるビルドが提供されていましたが、QGIS 3.0.1 / QGIS 2.18.18 LTRからは公式ビルドが提供されるようになりました。
ソースからインストールすることもできますが、APTやDNF、Flatpakなどのパッケージ管理システムを利用するのが一般的です。
QGISはC++で記述されており、C++やPythonで拡張することができます。また、Qtを利用しており、GEOS、SQLite、GDAL、GRASS GIS、PostGIS、PostgreSQLなどのライブラリとの連携も可能です。macOS、Linux、UNIX、Microsoft Windowsで動作し、macOSではX Window Systemを使用せず、より快適なユーザーインターフェースを提供します。また、ファイルサイズが小さいため、RAMや消費電力を抑えることができます。
QGISはGNU GPLライセンスで配布されており、利用者は自由に修正・カスタマイズできます。例えば、特定の用途に特化したインターフェースを作成したり、モバイルやタブレットで利用できるフィールドワーク用のアプリを開発することも可能です。
QGISは、GDAL/OGR、MDAL、PDALなどのライブラリを内部で利用しており、様々なラスタ形式、ベクタ形式、メッシュ形式、点群データ形式を扱うことができます。これにより、多種多様な地理空間情報データを効率的に処理できます。
QGISでは、読み込んだレイヤのデータソース、地図の表示設定などをまとめたものをプロジェクトファイル（拡張子: ".qgs"、".qgz"）として保存できます。QGS形式のプロジェクトファイルはXML形式のため、テキストエディタで編集することも可能です。QGZ形式は、QGS形式と補助ファイルをZIP圧縮したもので、QGIS 3.0でサポートされ、3.2から新規保存時のデフォルトとなりました。
QGISは、地図投影法や測地系の変換を行うPROJライブラリを利用しており、多くの地理座標系をサポートしています。異なる座標系を持つレイヤを重ね合わせたり、任意の投影法で主題図を作成したりすることができます。
日本で利用される主な測地系には、旧日本測地系（Tokyo Datum）や世界測地系（WGS84、JGD2000、JGD2011）などがあります。測地系変換を正確に行うためには、各地点の変化量をまとめたパラメータファイルが必要ですが、QGISやPROJには日本のパラメータファイルが用意されていないため、旧日本測地系から日本測地系2000への変換は平均的な変換にとどまります。
QGISは、PostGISやGRASS GIS、MapServerなどの外部オープンソースGIS拡張機能を統合することができます。さらに、Pythonで書かれたプラグインによって機能拡張が可能です。
QGISには、Google Geocoding APIを用いたジオコード、ArcGISに似たジオプロセッシングツール、PostgreSQLやMySQLのインターフェース、Mapnikによる地図表示機能など、様々なプラグインが利用可能です。
MANDARA: 日本の人文地理学者によって開発された無料GISソフトです。
Google Earth: 3D表示が可能なGISソフトです。
Google Maps: ブラウザで地図や衛星画像を見ることができる地図ソフトです。QGISではプラグインを使って、Google Mapsのデータをレイヤーとして扱うことができます。
QGISはオープンソースソフトウェアであるため、有償のサポートは存在しませんが、コミュニティによる質問の場や、有償でのサポート、研修、開発を提供する企業も存在します。
公式リポジトリのissues（英語）
メーリングリスト（QGIS User DiscussionList:英語、OSGeoJapan-discuss:日本語）
フォーラム（QGIS初心者質問グループ:日本語）
QGISは、地理空間情報の分析や地図作成に非常に強力なツールであり、オープンソースコミュニティによって継続的に開発と改善が行われています。
バージョンと主な変更点
QGISは、定期的にバージョンアップが行われ、機能の改善や拡張が続けられています。主なバージョンアップの内容は以下の通りです。
2.0
2.0では、旧バージョン1.8から大幅な変更が加えられ、エンジン部分が刷新されました。これにより、将来性のある新エンジンに置き換えられ、PythonプラグインのAPIも大幅に変更されました。また、作業環境の保存場所や設定ファイル名も変更されており、旧バージョンとの互換性は失われました。
3.0
2.xでは、Qt4/Py[[Qt]]4およびPython 2.7が利用されていましたが、これらがサポート終了を迎えるにあたり、3.0へのメジャーバージョンアップが計画されました。APIが刷新され、2.xとの互換性は失われました。Python 2とPython 3の間で構文に互換性がないため、多くのプラグインには修正が必要となりました。
リリースサイクルとサポート期間
QGISは、偶数番号のバージョン（例: 2.18、3.2）がリリースバージョン、奇数番号のバージョン（例: 2.99、3.1）が開発バージョンとして扱われます。新規バージョンは約4ヶ月ごとに公開され、2月、6月、10月頃に実施されています。また、毎月ポイントリリースも行われています。
通常のサポート期間は、次のバージョンが公開されるまでの約4ヶ月間です。ただし、毎年10月頃に公開されるバージョンは、最初の4ヶ月は最新版として扱われますが、翌年2月頃に次のバージョンが公開されると同時に長期リリース版（LTR; Long Term Release）となり、次のLTRが採用されるまでの1年間（合計1年4ヶ月間）サポートの対象となります。
さらに、バージョン3.20からは、リリース番号が".0"のパッケージをリリース候補版として扱い、広くフィードバックを求めるようになりました。リリース候補版は、バージョン番号に「RC」と表記されたり、起動時のスプラッシュ画像に「release candidate」と表示されます。
インストール方法
QGISは、Windows、macOS、Linux/BSDなど、様々なプラットフォームで利用できます。
Windows
公式サイトからインストーラをダウンロードできます。インストーラには、ネットワークインストーラとスタンドアロンインストーラの2種類があります。
ネットワークインストーラ: OSGeo4Wのパッケージ管理ツールを利用して、QGIS本体や必要なライブラリをインストールできます。インストール済みのパッケージのアップデートも可能です。ただし、パッケージのバージョン不整合により不具合が生じる可能性があります。
スタンドアロンインストーラ: 一般的なソフトウェアと同様に、インストーラを実行するだけでインストールできます。GRASS GISやSAGA GISのGUIプログラムも同梱されています。複数の異なるバージョンを使い分けることも可能です。ただし、PROJ 8などが含まれるため、ファイル容量が大きいです。
macOS
公式サイトからインストーラをダウンロードできます。以前はkyngchaos.comによるビルドが提供されていましたが、QGIS 3.0.1 / QGIS 2.18.18 LTRからは公式ビルドが提供されるようになりました。
Linux/BSD
ソースからインストールすることもできますが、APTやDNF、Flatpakなどのパッケージ管理システムを利用するのが一般的です。
製作言語と対応OS
QGISはC++で記述されており、C++やPythonで拡張することができます。また、Qtを利用しており、GEOS、SQLite、GDAL、GRASS GIS、PostGIS、PostgreSQLなどのライブラリとの連携も可能です。macOS、Linux、UNIX、Microsoft Windowsで動作し、macOSではX Window Systemを使用せず、より快適なユーザーインターフェースを提供します。また、ファイルサイズが小さいため、RAMや消費電力を抑えることができます。
ライセンス
QGISはGNU GPLライセンスで配布されており、利用者は自由に修正・カスタマイズできます。例えば、特定の用途に特化したインターフェースを作成したり、モバイルやタブレットで利用できるフィールドワーク用のアプリを開発することも可能です。
データフォーマット
QGISは、GDAL/OGR、MDAL、PDALなどのライブラリを内部で利用しており、様々なラスタ形式、ベクタ形式、メッシュ形式、点群データ形式を扱うことができます。これにより、多種多様な地理空間情報データを効率的に処理できます。
プロジェクトファイル
QGISでは、読み込んだレイヤのデータソース、地図の表示設定などをまとめたものをプロジェクトファイル（拡張子: ".qgs"、".qgz"）として保存できます。QGS形式のプロジェクトファイルはXML形式のため、テキストエディタで編集することも可能です。QGZ形式は、QGS形式と補助ファイルをZIP圧縮したもので、QGIS 3.0でサポートされ、3.2から新規保存時のデフォルトとなりました。
座標参照系
QGISは、地図投影法や測地系の変換を行うPROJライブラリを利用しており、多くの地理座標系をサポートしています。異なる座標系を持つレイヤを重ね合わせたり、任意の投影法で主題図を作成したりすることができます。
測地系
日本で利用される主な測地系には、旧日本測地系（Tokyo Datum）や世界測地系（WGS84、JGD2000、JGD2011）などがあります。測地系変換を正確に行うためには、各地点の変化量をまとめたパラメータファイルが必要ですが、QGISやPROJには日本のパラメータファイルが用意されていないため、旧日本測地系から日本測地系2000への変換は平均的な変換にとどまります。
機能
QGISは、PostGISやGRASS GIS、MapServerなどの外部オープンソースGIS拡張機能を統合することができます。さらに、Pythonで書かれたプラグインによって機能拡張が可能です。
プラグイン
QGISには、Google Geocoding APIを用いたジオコード、ArcGISに似たジオプロセッシングツール、PostgreSQLやMySQLのインターフェース、Mapnikによる地図表示機能など、様々なプラグインが利用可能です。
QGISに類似するソフト、連携できるソフト
MANDARA: 日本の人文地理学者によって開発された無料GISソフトです。
Google Earth: 3D表示が可能なGISソフトです。
Google Maps: ブラウザで地図や衛星画像を見ることができる地図ソフトです。QGISではプラグインを使って、Google Mapsのデータをレイヤーとして扱うことができます。
開発関係
QGISはオープンソースソフトウェアであるため、有償のサポートは存在しませんが、コミュニティによる質問の場や、有償でのサポート、研修、開発を提供する企業も存在します。
ユーザー情報、バグ報告
公式リポジトリのissues（英語）
メーリングリスト（QGIS User DiscussionList:英語、OSGeoJapan-discuss:日本語）
フォーラム（QGIS初心者質問グループ:日本語）
QGISは、地理空間情報の分析や地図作成に非常に強力なツールであり、オープンソースコミュニティによって継続的に開発と改善が行われています。
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