QRP

QRP運用とは

QRP（QRP運用）とは、アマチュア無線において空中線電力を意図的に低減して運用する方式のことです。Q符号の「こちらは、送信機の電力を減少しましょうか？」を意味する"QRP?"に由来します。対義語はQRO（空中線電力を増加して運用すること）です。

国際電気通信条約や電波法では、無線局は業務に必要な最小限の電力を使用するよう規定されています。多くのアマチュア無線家は50Wから100Wの空中線電力を使用していますが、QRP運用では、それを意図的に下回る電力で運用します。

QRP運用の利点

QRP運用には、以下のような利点があります。

消費電力の低減: 消費電力が少ないため、電源が不十分な状況でも運用が可能です。
機器の製作・調整の容易さ: 比較的簡単に無線機を自作したり、調整したりすることができます。
小型軽量なアンテナの利用: 耐電力の低い小型軽量なアンテナを使用できます。
電波障害の軽減: 他の局への混信や妨害など、電波障害を与える可能性が小さくなります。
技術的探求の楽しみ: 通信が困難な状況で、いかに遠距離通信(DX)を達成するかという技術的な挑戦を楽しめます。
省エネルギーと電波資源の有効利用: 環境に優しく、電波資源の有効活用に貢献できます。

過去には、アマチュア無線家が短波帯を開拓した背景にはQRPの精神がありました。遠距離無線通信に大電力を必要とした時代に、電離層反射を利用して少ない電力で世界との通信を可能にしたのです。指向性アンテナやSSB方式の開発も、省電力化を目指したQRPの精神に基づいています。

CW（無線電信）は、音声通信（無線電話）が困難な低電力でも通信が可能なため、QRP運用に適しています。

QRPの定義と運用

DX Century ClubのQRP DXCCアワードでは、QRPの空中線電力は5W以下と定義されています。さらに空中線電力が小さい場合は、QRPp（一般に0.5W以下）と呼ばれることもあります。

QRP運用時には、コールサインの後に「/QRP」を付加することがあります。また、QRP運用を対象としたコンテストやアワードも存在します。

QRP用無線機

市販のトランシーバーの多くは、空中線電力を低減できるため、QRP運用が可能です。QRP専用機としては、八重洲無線のFT-817などが代表的です。かつては、ミズホ通信（廃業）のピコとロッドアンテナの組み合わせで、SSBによる遠距離通信がブームとなりました。また、QRP向けの無線機は自作も比較的容易です。

QRP運用は、アマチュア無線の原点に立ち返り、技術的な工夫と創意工夫によって遠距離通信を目指す、奥深い楽しみ方です。

関連項目

Q符号
アマチュア無線
* 自作 (アマチュア無線)

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