RAI国立交響楽団

RAI国立交響楽団（Orchestra Sinfonica Nazionale della RAI）は、イタリアのトリノに本拠地を置く、イタリア国営放送（RAI）が運営する放送オーケストラです。1994年に、それまでローマ、ミラノ、トリノ、ナポリに存在していたRAI所属の各オーケストラを、トリノRAI交響楽団を中心に統合・再編して誕生しました。この統合により、イタリアにおける放送オーケストラの活動は新たな時代を迎えました。

沿革

RAI国立交響楽団の歴史は、1931年にトリノに最初の交響楽団が創設された時に遡ります。その後、ローマ、ミラノ、ナポリにも次々と交響楽団が設立され、ナポリにはアレッサンドロ・スカルラッティの名を冠した管弦楽団も誕生しました。これらのオーケストラは、イタリアの音楽文化の発展に大きく貢献し、数々の著名な指揮者やソリストを迎え入れてきました。

1994年の統合により、これらのオーケストラが一つにまとまり、RAI国立交響楽団として新たなスタートを切りました。この統合は、イタリアのオーケストラ界において、組織の効率化と演奏の質の向上を目指す大きな変革でした。

歴代の首席指揮者

RAI国立交響楽団は、創設以来、多くの著名な指揮者を首席指揮者に迎えてきました。

初代首席指揮者：フランク・シップウェイ
2001年 - 2007年：ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス
2009年 - 2016年：ユライ・ヴァルチュハ
2016年 - 2020年：ジェームズ・コンロン
2023年 - 現在：アンドレス・オロスコ＝エストラーダ

また、名誉指揮者としてエリアフ・インバル（1996年 - 2001年）やジェフリー・テイト（2002年 - 2011年）が名を連ね、客演指揮者としてはジャナンドレア・ノセダ（1996年 - 2001年）などが活躍しました。これらの指揮者たちの指導の下、オーケストラは様々なレパートリーに取り組み、国際的な評価を高めてきました。

著名な客演指揮者と演奏活動

RAI国立交響楽団の前身となる各オーケストラには、ヴィットリオ・グイ、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ヘルベルト・フォン・カラヤン、アントニオ・グァルニエリ、イーゴリ・ストラヴィンスキー、レオポルド・ストコフスキー、セルジュ・チェリビダッケ、カルロ・マリア・ジュリーニ、マリオ・ロッシ、フランコ・カラッチオーロ、ロリン・マゼール、トーマス・シッパーズ、ズービン・メータ、ヴォルフガング・サヴァリッシュなど、世界的に著名な指揮者たちが客演しました。また、クラウディオ・アバド、リッカルド・シャイー、リッカルド・ムーティ、ジュゼッペ・シノーポリといったイタリア出身の巨匠たちにとっても、これらのオーケストラはキャリアの初期に重要な経験を積む場となりました。

RAI国立交響楽団は、数々のレコーディングも行っており、中でもズービン・メータが指揮した『椿姫』は特に有名です。また、各種テレビ放送にも積極的に出演しており、その演奏は広くイタリア国民に親しまれています。

関連事項

トリノ・イタリア放送交響楽団
ローマ・イタリア放送交響楽団
ミラノ・イタリア放送交響楽団

RAI国立交響楽団は、イタリアの音楽文化を代表するオーケストラとして、今後もさらなる活躍が期待されています。

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