RYOMA 空白の三か月

RYOMA 空白の三か月

2018年8月4日に劇場公開された日本の長編映画。監督は山谷亨。

カラー作品で、上映時間は93分。画面アスペクト比はシネマスコープを採用している。エンドロールでは、特定の人物や団体への献辞が捧げられている。なお、企画段階の決定稿に記されていた題名は『銭湯大パニック』であった。

物語

物語は平成30年（2018年）の春から始まる。趣味のスケッチを終えて、住み込みで働く銭湯「沖の湯」へ戻る途中だった楢崎涼子は、吊橋から巨大な間歇泉が噴き出している光景を目にする。涼子の叔父である勝舟太郎が経営する「沖の湯」は、近隣のライバル店「山の湯」の店長・近藤諌からの執拗な嫌がらせに苦しめられていた。さらに、町全体も東と西の商店会が激しく対立しており、町の活性化に向けた勝の努力も空しく、意見はまとまらずシャッター通りと化しつつあった。

そんなある夜、フリーターの亮太がいつものようにバイトを頼みに「沖の湯」を訪れ、仕事を終えて最後の客として湯に浸かろうとした矢先、突如として地震が発生する。浴場から洗面器が崩れ落ちる音が響き、涼子が駆けつけると、そこに倒れていたのは亮太ではなく、髷を結った見慣れない姿の男だった。言葉遣いや風貌に困惑した涼子は、友人のキャバクラ嬢・ケイを呼び出す。ケイは、「沖の湯」がかつて幕末に温泉旅籠「沖野屋」として営業していた頃の古写真の中に、その男と同じ顔立ちの人物がいることを見抜き、彼が坂本龍馬であると断定する。

一方、地震の揺れで銭湯の露天風呂に倒れ込んでいた亮太は、そこで出会った同じく髷姿で土佐弁を話す男・澤村惣之丞や周囲の風景に驚愕し、惣之丞と共に不可解な旅路を辿ることになる。

現代に迷い込んだ坂本龍馬と、幕末の世界へ飛ばされた亮太。彼らはそれぞれ、元の時代へ帰る道を探し始める。

時を同じくして、龍馬の提案で町おこしイベントの開催が計画される。当初は龍馬や勝たちに距離を置いていた町の人々も、次第にイベントへの参加を通して協力するようになる。しかし、イベントの準備が進む最中、謎の集団によって涼子が拉致されてしまう。龍馬は涼子を救出するため、単身敵のアジトへと乗り込むのだった。

制作

本作の企画は、山谷監督が時代劇と特撮を好むことを知るプロデューサーとの会話がきっかけで、2011年頃に持ち上がったとされる。監督は様々な書籍を紐解く中で、坂本龍馬が土佐を脱藩した後、明確な記録が途絶える約3ヶ月間の「空白期間」があることを知り、その間に龍馬が現代にタイムスリップするという奇抜なアイデアが生まれた。しかし、当初の企画は一度実現に至らなかった。

撮影は主に長野県内の小諸市や上田市を中心に行われたほか、佐久市や長和町、さらに広島県の広島市、福山市、竹原市など広範囲で行われた。しかし、制作途中で撮影が中断するという困難に見舞われ、その後、神奈川県山北町や山谷監督の故郷である青森県、秋田県での追加撮影を経て、ようやく完成に漕ぎ着けたという経緯がある。

本作は、女優・山下永夏にとって映画初ヒロインを務めた記念すべき作品となった。主題歌「最愛なるフレンド」を担当したWa:Miは、山谷監督が路上でその才能を見出し、抜擢したアーティストである。また、音楽を担当したKazz遠藤は、劇中にカメオ出演している。

主要キャスト

坂本龍馬 / 坂本亮太：井上正大
楢崎涼子：山下永夏
ケイ：央花
近藤諌：福井晋
岡大蔵：野田英治
沢村惣之丞：小島権徳
西口：松鶴家千とせ
ユキ：藤崎ひめ子
撮影技師：袴田吉彦
伊東甲治：高野浩幸
勝舟太郎：目黒祐樹

主題歌

「最愛なるフレンド」
作詞：若林愛
作曲：和田春
歌：Wa:Mi

スタッフ

プロデューサー：安久慎一、石田政雄、齋藤貴士
原案：山谷亨
脚本：薬師寺光幸
音楽：Kazz遠藤
撮影監督：齋藤剛史
監督：山谷亨
（その他、美術、録音、衣裳、メイク、編集、録音、音響効果など多数のスタッフが参加）

発売

本作は劇場公開後、2019年6月25日に株式会社オールイン エンタテインメントよりソフト化され発売された。

もう一度検索