SG (レーダー)

SGレーダーの概要

SGレーダーは、レイセオン社によって開発された低空警戒および対水上捜索用の2次元レーダーです。このレーダーは、第二次世界大戦の中期以降、アメリカ海軍の駆逐艦やその他の戦闘艦に標準で搭載され、敵艦や航空機からの脅威を探知するための重要な役割を果たしました。

SGの名称は、捜索（Search）を意味する"S"と、開発された順番を示す"G"から成っています。このレーダーは、もともとCXGRとして知られていましたが、戦後の改良や進化が進む中でその名称も変わりました。

技術的背景

1930年代初頭、レーダー技術は主に三極管やクライストロンといった技術を基にしていましたが、この時期の波長はメートル波に制限されていたため、遠達性には優れたものの、解像度に難がありました。しかし、1940年にバーミンガム大学で空洞マグネトロンが発明されることで、レーダーは急速にセンチメートル波にシフトし、より高い周波数の利用が可能となりました。これを受け、イギリス海軍はマグネトロンを使って低空警戒レーダーの開発に着手し、1941年には271型レーダーを実用化しました。

SGレーダーは、こうしたイギリスの技術革新をもとに、アメリカで初めて10センチメートルの波長を持つレーダーとして開発されました。また、マイクロ波技術により、平面位置表示器（PPI）を採用した初の機種でもあり、これがレーダー操作における視認性を大幅に向上させました。

配備と運用

SGレーダーの初期試験は1941年6月に駆逐艦「セムズ」で行われ、翌年1942年4月には重巡洋艦「オーガスタ」に搭載されることになりました。以降、順次艦隊への配備が始まり、特に1942年10月11日のサボ島沖海戦では、SGレーダーのデータを元にした精密射撃が日本海軍に大きな損害を与えました。

さらに、同年11月には第三次ソロモン海戦やルンガ沖夜戦でもSGの高精度データが艦長の指揮行動を支援し、特に副長のJ・ワイリー少佐がシルバースターを授与されるなど、その貢献は顕著でした。最初期には出力の不足やアンテナと表示器の配置に関する問題がありましたが、その後出力を増強したSGaや改良型のSG-1が開発され、1943年には本格的な量産が開始されました。その後、SGbやSG-1bなども開発され、性能が向上し続けました。

SGレーダーの進化

SGシリーズにはいくつかの派生型が存在します。例えば、SG-3では周波数が3.49 GHzに変更され、探知能力が50%向上しました。SG-4では送信尖頭電力が500 kWに増強され、パルス幅も短縮される改良が施されました。また、SG-6は最終生産型として、二つの異なる用途に応じたアンテナを備え、送信尖頭電力を125 kWまで引き上げていました。

これらの開発にもかかわらず、最終的にはXbバンドがレーダー用の周波数から外され、SG運用は終了しましたが、それに代わるCバンドを用いた派生型のAN/SPS-4はその後も運用が続けられました。

参考文献

このように、SGレーダーはレーダー技術の発展に大きな影響を与えただけでなく、戦闘艦の運用方法にも革新をもたらしました。なお、イギリスで同様の用途に開発された293型レーダーとも比較されることがあります。

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