SINGER 2

島津亜矢のカバーアルバム『SINGER 2』は、2010年から展開されている人気シリーズの第2作としてリリースされました。前作『Singer』からおよそ3年の歳月を経て発表された本作は、島津亜矢が演歌の枠を超えた多様なジャンルの名曲に挑んだ意欲的な一枚です。

本作の選曲は、日本の音楽シーンが活気に満ちていた1970年代から1980年代にかけて発表された楽曲を中心に構成されています。当時の歌謡曲はもとより、ロックやフォーク、さらには洋楽のオールディーズに至るまで、ジャンルを横断した幅広いセレクションが特徴です。誰もが一度は耳にしたことのある、時代を超えて愛される名曲の数々が収められています。

島津亜矢といえば、演歌歌手として鍛え上げられた圧倒的な歌唱力と表現力が魅力です。本作では、その実力が遺憾なく発揮されており、原曲とはまた異なる新たな魅力を楽曲に吹き込んでいます。例えば、松崎しげるの代表曲「愛のメモリー」では、演歌歌手ならではの芯のある張りのある歌声が存分に生かされ、壮大なバラードを力強く歌い上げています。かと思えば、ペドロ＆カプリシャスの「ジョニィへの伝言」では一転、情感豊かに、しっとりとした歌唱で聴く者を惹きつけます。松田聖子のヒットナンバー「SWEET MEMORIES」では、原曲の繊細さを保ちつつも、島津亜矢らしい優しさや愛らしさを加味した歌声が印象的です。さらに、洋楽のスタンダードであるパーシー・スレッジの「WHEN A MAN LOVES A WOMAN」では、魂を揺さぶるようなソウルフルなボーカルを披露しており、その表現の幅広さには目を見張るものがあります。

収録曲には、これらの他にもセリーヌ・ディオンの「MY HEART WILL GO ON」のような世界的なヒット曲や、渡辺真知子の「かもめが翔んだ日」、大橋純子の「シルエット・ロマンス」、研ナオコの「かもめはかもめ」といった邦楽の名曲が並びます。また、ボニー・タイラーの「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」やフランク・シナトラの「マイ・ウェイ」といった洋楽のカバーも含まれており、選曲の多様性が際立っています。さだまさしの「案山子」や河島英五の「酒と泪と男と女」、美空ひばりの「一本の鉛筆」など、心に染み入るような名曲も彼女の解釈で新たな息吹を与えられています。

『SINGER 2』は、単なるカバー集にとどまらず、島津亜矢という一人のボーカリストが持つ可能性と、音楽に対する真摯な姿勢を示す作品と言えるでしょう。原曲へのリスペクトを持ちながらも、自身の圧倒的な歌唱力と豊かな表現力によって楽曲に新たな生命を吹き込み、聴き手に感動を与えることに成功しています。このアルバムは、演歌ファンはもちろん、幅広い音楽ファンにとっても、島津亜矢のシンガーとしての奥深さを知る上で必聴の一枚です。

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