一本の鉛筆

一本の鉛筆

「一本の鉛筆」は、1974年10月1日にリリースされた美空ひばりのシングルです。この曲は、同年開催された第1回広島平和音楽祭のために制作されました。

制作背景

作詞は映画監督・脚本家の松山善三氏、作曲は主に映画音楽を手がけていた佐藤勝氏が担当しました。当初、作曲は音楽祭の実行委員長でもあった古賀政男氏が担当する予定でしたが、体調不良のため佐藤勝氏に変更されました。

このシングルには、「一本の鉛筆」と「八月五日の夜だった」の2曲が収録されており、どちらも広島への原爆投下をテーマにした作品です。美空ひばり自身も戦争を嫌っており、父の出征中に母が苦労した経験や、横浜大空襲を体験したことが背景にありました。

ひばりの平和への思い

広島平和音楽祭への出演依頼を快諾したひばりは、リハーサル時に冷房付きの控室が用意された際、「広島の人たちはもっと熱かったはずよね」と言い、猛暑のステージ脇で過ごしたそうです。ステージ上では、「幼かった私にもあの戦争の恐ろしさを忘れることができません」と観客に語りかけました。

14年後の1988年、ひばりは第15回音楽祭に再び出演しました。当時、大腿骨骨頭壊死と肝硬変で入退院を繰り返しており、歩行も困難な状態でしたが、観客の前では笑顔を絶やさず、「来てよかった」と語ったそうです。翌年、1989年6月24日にひばりはその生涯を閉じました。

その後

2006年8月27日には、『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』の広島テレビローカル企画で、実妹の佐藤勢津子さんがこの曲を歌唱しました。

収録曲

1. 一本の鉛筆
作詞：松山善三、作曲・編曲：佐藤勝
2. 八月五日の夜だった
作詞：松山善三、作曲・編曲：佐藤勝

カバー

「一本の鉛筆」は多くのアーティストによってカバーされています。

秋川雅史（2010年、アルバム『ファンタジスタ～翼をください～』収録）
扇ひろ子
大島花子（2014年、アルバム『柿の木坂』収録）
大城バネサ（2019年、アルバム『ザ・カバーズ』収録）
紙ふうせん（2001年、アルバム『青空と海』収録）
クミコ（2014年、アルバム『美しい時代のうた ～クミコ コロムビア カヴァーズ～』収録）
佐々木秀実（2012年、アルバム『美しき日本のメロディ』収録）
沢知恵（2001年、シングル「こころ」カップリング収録）
島津亜矢 (2013年、アルバム『SINGER 2』収録)
菅原やすのり（2000年、アルバム『すがはらやすのりベストアルバム～21世紀への扉～』収録）
天童よしみ（1998年、アルバム『夢歌III ～天童･美空ひばりを歌う～』収録）
浜田真理子（2018年、アルバム『LOUNGE ROSES 浜田真理子の昭和歌謡』収録）
雪村いづみ（1998年、アルバム『三人娘を唄う』収録）

関連事項

1974年の音楽
* 反戦歌

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