STIXフォント事業とは
STIXフォント事業は、科学技術分野における電子書籍や出版物を支援するために、
数学記号やアルファベットを包括的に収録したフォントセットを、ロイヤリティフリーのライセンスで提供するプロジェクトです。このプロジェクトは、複数の有力な科学技術系出版社によってサポートされており、「Scientific and Technical Information Exchange(科学技術情報交換)」の略であるSTIXという名称が用いられています。
STIXフォントは、
OpenType/CFFフォントとして提供されており、フォントの最適化が施されています。現時点では
TrueType版は提供されていませんが、将来的な作成が計画されています。非公式な
TrueType変換も存在しており、
OpenTypeをサポートしていないソフトウェアでの利用も可能です。STIXフォントには、
ラテン[[文字]]、ギリシャ
文字、
キリル[[文字]]が含まれており、Times New Romanとの互換性が考慮されています。
フォントの構成
STIXフォントは、プロジェクトの会員からの寄贈によって32.9%が作成されています。残りの部分は、商用
TeX販売店であるMicroPress社が追加の
字体を作成しています。プロジェクトでは、
TeX実装も開発しており、
文字が
Unicodeに組み込まれるように調整されています。これにより、ブラウザでの表示も可能になっています。
STIXフォント事業の会員であるSTI Pubコンソーシアムには、米国物理学協会、
アメリカ化学会、
アメリカ[[数学会]]、米国電気電子学会(
IEEE)、
アメリカ物理学会、
エルゼビアなどが含まれます。
開発経緯
2007年10月31日にベータ版が公開されました。しかし、
Microsoft Office 2007では、
OpenTypeの数式レイアウト機能が十分にサポートされていなかったため、完全には利用できませんでした。また、ベータ版の
ラテン[[文字]]セットは、東ヨーロッパ言語で必要な
文字を網羅していませんでした。
2008年6月9日には、最終的な設計変更が完了したことが発表されましたが、Office 2007や
TeXでの
OpenTypeレイアウト機能のサポートが未だ不十分でした。2009年5月末には「初期製作品リリース」が発表され、9月には最終パッケージング段階に入りました。しかし、10月に追加の
文字が必要になり、リリースが延期されました。2010年5月28日にフォントが正式にリリースされました。
プロジェクトは、予測よりも時間がかかり、公式サイトの更新が滞ることもありました。例えば、2011年7月20日には「
Microsoft Officeで使用するためにパッケージ化されたフォントを含むバージョン1.1は、2010年末にリリース予定」と記載されていましたが、実際には2012年2月24日にリリースされました。このバージョンでは、Microsoft Wordでの数式編集が容易になりました。
La[[TeX]]サポートのバージョン1.1.0は、2013年5月29日にリリースされています。
STIX 2.0.0
2016年12月1日には、STIX 2.0.0がリリースされました。このバージョンは、Tiro Typeworks社のロス・ミルズとジョン・ハドソンによって作成され、以前のバージョンとは異なるデザインが採用されています。Times New Romanに影響を受けつつも、よりエックスハイトが高くなっています。
2018年4月には、
La[[TeX]]で使用するためのSTIX2フォントのタイプ1がリリースされ、同時にプロジェクトのプラットフォームがGitHubに移行しました。
導入
STIXフォントは、OS X Lion (10.7) 以降に標準で含まれています。また、
JavaScriptフレームワークのMathJaxは、ウェブページに数式を表示するためにSTIXフォントを使用しています。ローカルにSTIXフォントをインストールすることで、MathJaxの処理速度が向上します。
数式エディタのMath Editorも、STIXフォントをメインフォントとして採用しています。
ESSTIX
STIXフォント事業の前身は、
エルゼビアによって開発されたESSTIX(Elsevier Science STIX)フォントです。これは、後にSTIXプロジェクトに寄贈されました。現在、ESSTIXは
Amaya(Webブラウザ)の一部として、
World Wide Web Consortiumから利用できます。しかし、STIXフォントは、
エルゼビアで出版されている多くの査読雑誌では使用されていません。
関連項目
外部リンク