STS-109

STS-109：ハッブル宇宙望遠鏡補修ミッション

STS-109は、NASAのスペースシャトル・コロンビアによって2002年3月に行われた、ハッブル宇宙望遠鏡（HST）の補修ミッションです。このミッションは、HSTの性能向上と寿命延長を目的としており、5回にわたる船外活動を通じて、重要な機材の交換と設置が行われました。

ミッション概要

• - 目的: ハッブル宇宙望遠鏡の補修、改良、性能向上
• - スペースシャトル: コロンビア
• - 打ち上げ: 2002年3月
• - 船外活動: 5回

乗組員

• - スコット・アルトマン (船長)
• - デュアン・キャリー (操縦手)
• - ジョン・グランスフェルド (ペイロード・コマンダー)
• - ナンシー・J・カリー (ミッション・スペシャリスト)
• - ジェームズ・ニューマン (ミッション・スペシャリスト)
• - リチャード・リネハン (ミッション・スペシャリスト)
• - マイケル・マッシミーノ (ミッション・スペシャリスト)

ミッション・パラメータ

• - 打上時質量: 116,989 kg
• - 着陸時質量: 100,564 kg
• - 近地点: 486 km
• - 遠地点: 578 km
• - 軌道傾斜角: 28.5°
• - 周期: 95.3 分

ミッションのハイライト

STS-109の主要な目的は、ハッブル宇宙望遠鏡の性能を最大限に引き出すためのアップグレードを実施することでした。ミッションでは、以下の重要な作業が行われました。

• - 掃天観測用高性能カメラ (ACS) の設置: より広範囲かつ高解像度の観測を可能にする新型カメラ。
• - 新しい硬式太陽電池板 (SA3) の設置: 望遠鏡の電力供給能力を向上。
• - 新しい電力制御ユニット (PCU) の設置: 望遠鏡の電力管理システムを更新。
• - 赤外線観測装置 (NICMOS) 用の新しい冷却システムの設置: 赤外線観測能力を回復させるための試験的な冷却システム。
• - ハッブル宇宙望遠鏡の高軌道へのリブースト: 望遠鏡の軌道を維持し、寿命を延長。

5回にわたる船外活動は、合計で35時間55分に及びました。宇宙飛行士たちは、複雑な作業を協力して行い、ハッブル宇宙望遠鏡の機能を大幅に向上させることに成功しました。特に、シャトルのロボットアームの操作は、ミッション・スペシャリストのナンシー・J・カリーが担当し、船長のスコット・アルトマンがバックアップを務めました。

コロンビア最後のミッション

STS-109は、コロンビアにとって打ち上げから着陸まで完全に実施された最後のミッションとなりました。次のミッションであるSTS-107で、コロンビアは帰還中に空中分解事故を起こし、乗員全員が犠牲となりました。そのため、STS-109は、コロンビアの最後の輝きとして、特別な意味を持つミッションとして記憶されています。

その他

STS-109は、日の出の25分前に打ち上げられたため、「夜間打ち上げ」とされています。しかし、実際には朝に打ち上げられました。

まとめ

STS-109は、ハッブル宇宙望遠鏡の性能を向上させ、宇宙の謎を解き明かすための重要な貢献を果たしたミッションです。また、スペースシャトル・コロンビアの最後の成功として、その歴史に深く刻まれています。

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