STS-36

STS-36：アトランティスのミッション詳細

STS-36は、アメリカ航空宇宙局（NASA）が1990年に行ったスペースシャトルミッションです。スペースシャトル・アトランティスを使用し、アメリカ国防総省の秘密ペイロードを軌道に運びました。これは、スペースシャトル計画において34回目のミッションであり、アトランティスにとっては6回目の飛行でした。また、4回目の夜間打ち上げミッションでもありました。

ミッション概要

1990年2月28日2時50分22秒(EST)、アトランティスはケネディ宇宙センターから打ち上げられました。当初は2月22日に予定されていましたが、船長の体調不良と悪天候により延期されました。乗組員の体調不良による有人宇宙ミッションの延期は、1970年のアポロ13号以来のことでした。その後、コンピュータの不調や悪天候による再延期を経て、2月28日に打ち上げに成功しました。打ち上げ重量は機密扱いとされています。

特徴的なのは、62°という高い軌道傾斜角を持つ特殊な軌道です。この「ドッグレッグ」軌道のため、アトランティスは海面上に出た際に手動で方位角を変更する必要がありました。これは機体の性能を低下させるものの、ケネディ宇宙センターから必要な展開軌道に到達するための唯一の手段でした。当初はヴァンデンバーグ空軍基地からの打ち上げが予定されていましたが、同基地のスペースシャトル打ち上げ施設計画は1989年に中止されていました。軌道はハッテラス岬やケープコッド、カナダの一部上空を通過し、通常は禁止されている陸地上空の飛行も一時的に許可されました。これは、ペイロードが国家安全保障上重要であると判断されたためです。

ペイロード

アメリカ国防総省の運用であるため、STS-36のペイロードは公式には秘密とされています。公式には、STS-36は1990-019B（USA-53）と呼ばれる1つの衛星のみを打ち上げたとされていますが、展開後には別の物体（1990-019C-G）も軌道上に現れたと報告されています。

USA-53は、全デジタル撮像システムを備えた改良型KH-11写真偵察衛星であったと考えられています。KH-11は、大きさや形がハッブル宇宙望遠鏡に似ており、同様の機器を備え、主鏡の直径も同程度であると推測されています。「Misty」と名付けられたUSA-53は、1990年10月および11月には、アマチュア人工衛星観測者によって一時的に追跡されました。

ミッションの終わり

アトランティスは、1990年3月4日10時08分(PST)にエドワーズ空軍基地の第23滑走路に着陸しました。オービタのロールアウト距離は2.41kmでした。着陸後、スペースシャトルの熱防護タイルの約62個の窪みが確認されましたが、交換が必要とされたのはわずか1つでした。

乗組員

船長：ジョン・クレイトン (2)
操縦手：ジョン・キャスパー (1)
ミッションスペシャリスト1：マイク・マレーン (3)
ミッションスペシャリスト2：デヴィッド・ヒルマーズ (3)
* ミッションスペシャリスト3：ピア・ツート (1)

ミッションの徽章

徽章に描かれた36個の星は、これまでのスペースシャトル計画の回数を象徴しています。また、星はアメリカ合衆国の国鳥であるハクトウワシの背景となるアメリカ合衆国の国旗の一部を構成しています。

もう一度検索