STS-51-C

STS-51-C：謎に包まれた軍事ミッション

STS-51-Cは、アメリカ航空宇宙局（NASA）のスペースシャトル計画における15回目の飛行であり、ディスカバリーの3回目のミッションとして1985年1月24日に打ち上げられました。1月27日にケネディ宇宙センターに着陸し、同センターへのシャトル着陸としては4回目となりました。

特筆すべきは、このミッションがアメリカ国防総省のペイロードのために行われた初のスペースシャトルミッションであったことです。そのため、ミッションに関する多くの詳細が機密扱いとされ、その内容は今もなお謎に包まれています。

ミッションの概要

1985年1月24日14時50分(EST)、STS-51-Cはケネディ宇宙センターから打ち上げられました。当初は1月23日に予定されていましたが、雪のため延期されました。また、当初はチャレンジャーが使用される予定でしたが、熱防護タイルの問題からディスカバリーに変更されました。このミッションは、軌道に到達した100回目の有人宇宙飛行という記録も打ち立てています。

アメリカ空軍は、シャトルが軌道7周目で慣性上段ロケットによるペイロードの展開に成功したと発表しましたが、それ以上の詳細は明らかにされませんでした。ペイロードはMagnum/ORION ELINT衛星であり、対地同期軌道に投入されたと考えられています。2009年、ペイロードスペシャリストのゲイリー・ペイトンは、STS-51-Cで打ち上げられたペイロードは現在も軌道上にあり、運用中であると述べています。

知られざる軌道変更

Aviation Weekの報道によると、シャトルは当初204km×519km、軌道傾斜角28.45°の軌道に入り、その後3度の軌道変更を行ったとされています。これらの軌道変更がどのような目的で行われたのかは明らかにされていません。

ミッションは3日間と1時間33分続き、ディスカバリーは1月27日16時23分(EST)にケネディ宇宙センターの第15滑走路に着陸しました。IMAXで撮影されたSTS-51-Cの打ち上げ映像は、映画「The Dream Is Alive」で使用されています。

チャレンジャー号爆発事故との関連

STS-51-Cの約1年後、STS-51-Lミッションでチャレンジャー号爆発事故が発生しました。STS-51-CとSTS-51-Lの両方のミッションに参加したエリソン・オニヅカは、この事故で犠牲となりました。

事故の調査過程で、STS-51-Cの打ち上げ時に、それまでで最も激しい固体ロケットブースター（SRB）のブローバイが発生していたことが判明しました。これは、SRBの点火時にOリングが熱いガスを燃焼室の中に完全に閉じ込めていなかったことを意味します。回収された左右のSRBのOリングはいくらか焦げていましたが、右側SRBの中央接続部の分析によって、1つ目のOリングがかつてないほど貫通しており、2つ目のOリングがかなり焦げていたことが明らかになりました。

STS-51-Cの打ち上げ時の気温は、それまでのシャトルの打ち上げで最も低い12℃でした。この事実は、チャレンジャー号爆発の大きな原因が低温であったという見解を強める上で重要な役割を果たしました。

STS-51-Cは、その機密性の高さと、チャレンジャー号爆発事故との関連性から、宇宙開発の歴史において特別な位置を占めるミッションと言えるでしょう。

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