リチャード・コヴィー

リチャード・O・コヴィー：軍人、宇宙飛行士、そしてリーダー

リチャード・オズワルト・コヴィー（Richard Oswalt Covey、1946年8月1日 - ）は、アメリカ空軍の軍人であり、アメリカ航空宇宙局（NASA）の宇宙飛行士として輝かしいキャリアを築きました。彼の生涯は、軍事的な卓越性と宇宙探査への貢献によって特徴づけられています。

生い立ちと教育

1946年8月1日にアーカンソー州フェイエットビルで生まれたコヴィーは、フロリダ州フォートウォルトンビーチを故郷と見なしていました。1964年にフロリダ州シャリマーのChoctawhatchee高校を卒業後、1968年に空軍士官学校で宇宙飛行工学の学士号を取得。さらに、1969年にはパーデュー大学で宇宙飛行工学の修士号を取得し、学問的な基盤を固めました。

軍でのキャリア

コヴィーは空軍で1970年から1974年まで、F-100、A-37、A-7などの戦闘機パイロットとして活躍しました。東南アジアへの2度の派遣では、339回もの出撃を経験。その後、1975年から1978年までフロリダ州のエグリン空軍基地でF-4とA-7Dのテストパイロットを務め、F-15の電子戦試験にも参加しました。彼は30以上の異なる機体で5,700時間以上の飛行経験を持ちます。

NASAでのキャリア

1978年1月、コヴィーはNASAの宇宙飛行士候補に選ばれ、1979年8月に宇宙飛行士となりました。彼は1985年のSTS-51-I、1988年のSTS-26、1990年のSTS-38、そして1993年のSTS-61と、4度の宇宙飛行を経験し、合計646時間以上を宇宙で過ごしました。1978 NASA Group 8の一員として選ばれた彼は、同期の中で最も遅く宇宙へ飛び立ちました。

初飛行前は、オービタの技術開発と試験に携わり、スペースシャトルの2度目と3度目の飛行では追跡機T-38のパイロットを務めました。また、初の運用ミッションとなったSTS-5では乗組員のサポートを担当。さらに、STS-5、STS-6、STS-61-B、STS-51-Lでは、宇宙船通信担当官（CAPCOM）を務めました。

1989年にはNASAの宇宙飛行安全パネルの議長を務め、宇宙飛行士室の副チーフも務めました。

宇宙飛行のハイライト

STS-51-I (1985年): ディスカバリーに搭乗し、3つの通信衛星を展開。質量6.8トンのSYNCOM IV-3とのランデブーと修理に成功。宇宙遊泳で初めて手で衛星を掴み、手で展開しました。
STS-26 (1988年): チャレンジャー爆発事故後の初のミッション。ディスカバリーでTDRS-C衛星と11個の二次ペイロードを展開しました。
STS-38 (1990年): アトランティスの船長として、国防総省のミッションを遂行。ケネディ宇宙センターへのスペースシャトルの着陸を1985年以来初めて成功させました。
STS-61 (1993年): エンデバーの船長として、ハッブル宇宙望遠鏡の修理ミッションを成功させました。4人の乗組員が5回の宇宙遊泳を行い、望遠鏡を捕捉・修理しました。

NASA退職後のキャリア

1994年8月1日、コヴィーはNASAとアメリカ空軍を退職。2003年のコロンビア号空中分解事故後には、トーマス・スタッフォードと共に、スペースシャトルを再び宇宙に戻すためのスタッフォード・コヴィー委員会を率いました。彼は1960年にイーグルスカウトに選ばれ、2005年にはボーイスカウトアメリカ連盟からDistinguished Eagle Scout Awardを受賞。2006年1月には、ユナイテッド・スペース・アライアンスのCOOに選ばれ、2007年9月28日にはCEOに就任しました。

受賞と栄誉

コヴィーは、ディフェンス・ディスティングシュドサービスメダル、ディフェンス・スーピアリアサービスメダル、5つの殊勲飛行十字章、16個のエア・メダル、メリトリアスサービスメダル、コメンデイション・メダル、National Intelligence Medal of Achievement、NASA Outstanding Leadership Medal、NASA Exceptional Service Medal、4つのNASA Space Flight Medalなど、数々の賞を受章。また、アメリカ航空宇宙学会のHaley Space Flight Awardや、アメリカ宇宙航行学会のFlight Achievement Awardも受賞しています。さらに、アーカンソー航空歴史協会の「アーカンソー航空の殿堂」にも選ばれています。

リチャード・コヴィーのキャリアは、勇気、献身、そして卓越性の追求によって彩られています。彼の功績は、宇宙探査の未来に永続的な影響を与え続けるでしょう。

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