S/2004 S 23

スクリュミル (Skrymir) について

スクリュミルは、土星の第56番目の衛星として知られています。この小さな天体は、S/2004 S 23という仮符号で発見が報告されました。

発見と命名の経緯

2019年10月7日、スコット・S・シェパード氏、デビッド・C・ジューイット氏、ジャン・クレイナ氏らの観測チームが、小惑星センターのサーキュラーを通じてこの衛星の発見を公表しました。発見に使用されたのはすばる望遠鏡で、2004年12月12日から2007年3月22日にかけての観測データの中にその存在が確認されました。発見報告が2019年であるにも関わらず仮符号が2004となっているのは、過去の観測データから発見されたためです。

この観測では、合計で20個もの土星の新しい衛星が発見されました。その後、2021年8月10日に小惑星センターが発行した小惑星回報「M.P.C. 133821」で、スクリュミルはSaturn LVIという確定番号を与えられました。

さらに、S/2004 S 23を含む20個の新衛星の発見報告と同時に、これらの衛星の固有名を一般公募することが発表されました。スクリュミルは北欧群に属するため、北欧神話に登場する巨人にちなんだ名前が候補となり、2019年10月7日から12月6日にかけて公募が行われました。そして、集まった名称案の中から選考を経て、2022年8月24日、国際天文学連合の惑星系の命名に関するワーキンググループ(WGPSN)によって、北欧群に属する10個の逆行衛星の正式名称が発表されました。この時、S/2004 S 23は「スクリュミル」と命名されました。この名称は、北欧神話に登場する変装の名人である巨人ウートガルザ・ロキが変装した姿、スクリューミルに由来しています。

スクリュミルの特徴

スクリュミルは、推定直径が約3kmという小さな衛星です。軌道傾斜角は177°で、逆行軌道を持っています。この特徴から、スクリュミルは北欧群に分類されます。北欧群に属する他の小さな衛星と同様に、スクリュミルも、かつて存在した大きな母天体が衝突によって破壊された際の破片である可能性が指摘されています。

スクリュミルの発見と命名、その特徴は、土星の衛星系の成り立ちや進化を理解する上で重要な手がかりを与えてくれるでしょう。

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