School Days (アニメ)

School Days (スクールデイズ)とは

『School Days』は、株式会社オーバーフローが制作した同名のアダルトゲームを原作とする日本のテレビアニメ作品です。2007年7月から9月にかけて独立UHF局などで全12話が放送されました。主人公である男子高校生と、彼を取り巻く二人のメインヒロインを中心に、複雑な三角関係と衝撃的な結末を描いた作品です。

ストーリー

榊野学園に通う主人公の伊藤誠は、同じ電車を利用する桂言葉に密かに想いを寄せていました。ある日、学園で噂される「好きな相手を携帯電話の待ち受け画面にして3週間隠し通せば想いが叶う」というおまじないを試しますが、すぐに隣席の西園寺世界に見つかってしまいます。世界は、お詫びとして誠と言葉を取り持ち、二人は交際を開始します。

しかし、二人の関係はすれ違いが多く、誠は次第に言葉との交際に不満を抱くようになります。その一方で、誠は何かと助言をくれる世界に惹かれていき、ついには肉体関係を結んでしまいます。また、世界もまた誠への想いを抑えられず、二人は関係を深めていきます。さらに誠は、自制心を失い、他の女子とも関係を持つようになっていきます。

物語終盤、世界から妊娠を告げられた誠は、学校での居場所を失い孤立してしまいます。世界は誠が戻ってくることを期待しますが、誠は言葉とよりを戻してしまいます。健康診断を提案された世界は動揺し、誠を刺殺。その後、言葉が誠の遺体を発見すると、死んだはずの誠を装って世界を殺害するように促し、切断された誠の頭部を抱えヨットで海へと姿を消します。

エピローグでは、冒頭の誠の独白と共に、誠、世界、言葉のいなくなった榊野学園で、何事もなかったかのように普通の学校生活を送る登場人物達が描かれ、それまでの展開とは想像もできないような穏やかな雰囲気のまま物語は幕を閉じます。

制作

アニメ化企画は、原作発売後から多数上がっていましたが、その多くは「いかに惨劇を回避するか」という内容でした。しかし、TNKの「ショッキングな展開」を重視する案が採用され、アニメ制作が開始されました。監督の元永慶太郎も「最初からハッピーエンドは考えていなかった」と語っています。

完成したTVアニメ版は、メインキャラクターたちの三角関係を軸とした壮絶な愛憎劇となり、スーパーバイザーを務めたオーバーフロー代表のメイザーズぬまきちも「100点」と評価しました。キャラクターデザインは、ごとうじゅんじによって一新され、肉感的で大人びた絵柄に。特に肌の色味は、物語序盤ではエピソードごとに変化が見られます。ただし、第11話以降は意図的に原作と同じ色味に変更されました。

作品の性質上、登場キャラクターの多くは負の面が強調して描かれており、特に主人公の誠はシリーズ構成の上江洲誠の発案で「最低な奴」として描かれています。例えば、世界が誠に妊娠を告げるシーンでは、原作では「何でもっと早く言わなかったんだよ」というセリフだったのに対し、アニメ版では妊娠したことを激しく責め立てるセリフに変更され、さらに世界がつわりで気分が悪くなっても放置するシーンが追加されました。性的描写も多く、中盤以降はさらに露骨になっていき、AT-Xでは第9話以降に視聴年齢制限が設けられました。

本放送時のオープニングアニメーションでは、第4話以前には世界と言葉のバストアップ時に乳首が映っていましたが、第5話以降は映らないようにトリミング処理が施されました。また、次回予告では携帯電話の画面にサブタイトルが表示されるのみで、内容については一切触れられず、音声もありません。予告後には「この作品はフィクションであり、登場する人物や、地名、学校名は架空のものであります。」というテロップが表示されていました。

スタッフ

主なスタッフは、TVアニメ版とOVA版で共通です。

原作: オーバーフロー
監督: 元永慶太郎
シリーズ構成: 上江洲誠
キャラクターデザイン、総作画監督: ごとうじゅんじ
プロップデザイン: 岩畑剛一
美術監督: 河野次郎、鈴木恵美
色彩設計: 鈴城るみ子
撮影監督: 沢直人
編集: 櫻井崇
音響監督: 蝦名恭範
音楽: 大久保薫
プロデューサー: 伊藤誠、後藤政則、小池克実
アニメーション制作: ティー・エヌ・ケー
製作: School Days製作委員会（マーベラスエンターテイメント、エイベックス・エンタテインメント、ランティス、ポニーキャニオンエンタープライズ）

各話リスト

各話のサブタイトルは、原作と同じくBパート終了後に表示されます。

放送局

地上波各局については、最終話が放送中止となったため、第11話までの放送期間を記載しています。

最終話の放送休止

最終話（第12話）は、公式な発表こそありませんでしたが、最速局のtvkでの放送予定日の前日に発生した京田辺警察官殺害事件の影響で、地上波全局で放送が中止され、実質的に打ち切りとなりました。この出来事は、マスコミにも大きく取り上げられ、話題となりました。

tvkでは、最終話の代わりに紀行番組が放送されましたが、その中でソグネ・フィヨルドを航行するフェリーの画像が、英語圏の匿名掲示板「4chan」に投稿され、「Nice boat.」というコメントが付いたことが話題となり、Yahoo! JAPANの時事ワードランキングで第10位、未来検索ブラジルの『ネット流行語大賞 2007』で第5位にランクインしました。これを受け、オーバーフローは2007年冬のコミックマーケットで「Nice boat.」を自社ブース名として使用しました。また、この際、ごとうじゅんじによる18禁同人誌『無料配布Days』が商品購入者へ無料で配布されました。

地上波から1週間遅れで放送していたAT-Xでは、朝帯や昼帯の放送分が第11話の再放送に差し替えられ、夜間帯のみの放送となりました。同日には、秋葉原UDXでオーバーフロー主催の試写会も開催されました。当初、「未開封の『School Days』か『Summer Days』を持参する」という参加条件が告知されましたが、批判が相次いだため、「開封済商品でも参加可能」に変更されました。

この最終話について、言葉役の岡嶋妙は「こんな結末だけど、やってて楽しかった」、世界役の河原木志穂は「平川さん（伊藤誠役）の死にっぷりが素敵で、そのおかげでテンションがすごく上がった」と述べています。この事例を分析した社会学の研究も存在します。

その後、2011年12月27日にニコニコ生放送でネット配信イベント「【R-18】ニコニコアニメスペシャル DVD版「School Days」一挙放送」が開催されました。DVD版マスターを使用したネット配信や全12話の完全放送、18禁指定は、今回が初となり、25万人を超える来場者と100万件を超えるコメントを記録する大反響となりました。

DVD/BD

マーベラスエンターテイメントより発売。エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズが販売を担当。

DVD

各巻ともディレクターズ・カット版と称されており、TV放送版よりもクオリティが向上され、描写が解禁されたバージョンが収録されています。特に第12話は凄惨な内容となっているため、第6巻のパッケージには購入者に注意を促す警告シールが貼付されました。レンタル版は音声のみの修正となっています。

BD

DVD版全12話と後述のOVA2作品をBD2枚に収録したBD-BOXとして、2013年 3月22日に発売。

OVA

Valentine Days

PS2初回限定版同梱特典OVAとして「Valentine Days」が制作されました。TVアニメ版のパラレルワールドに相当する作品で、内容はTV本編とは異なり、ラブコメディ調で明るい雰囲気になっています。

マジカルハート☆こころちゃん

番外編OVA『School Days OVAスペシャル〜マジカルハート☆こころちゃん〜』が2008年 3月28日に発売されました。世界役の河原木志穂と言葉役の岡嶋妙によるオーディオコメンタリー付きのTVアニメ版ダイジェストなどが特典映像として収録されています。原作やTVアニメ版の登場人物とネタを使ったパラレルワールドで、楽屋オチとして楽しめる内容となっています。

インターネットラジオ

『Radio School Days』のタイトルで、TVアニメ版の放送開始に先立ち、2007年 6月26日よりランティスウェブラジオと音泉にて配信されました。全40回。パーソナリティは、世界役の河原木志穂と言葉役の岡嶋妙。

携帯アプリ

『スクールデイズ麻雀』のタイトルで、i-mode公式サイト「萌きゅあっと」内にて2008年 6月26日より配信が開始された、2人打ち麻雀ゲーム。原作ではなくTVアニメ版を原作としています。「世界編」と「言葉編」の2種類があり、不利な状況になると「ヤンデレゲージ」が増加し、「ヤンデレモード」が発動するなどの特徴があります。

使用楽曲

イノセント・ブルー - DeviceHigh
ウソツキ - CooRie
愛のカケラ - 橋本みゆき
ワルツ - いとうかなこ
記憶の海 - yozuca
Look at me - YURIA
涙の理由 - 栗林みな実
Let me Love you - 桃井はるこ
あなたが…いない - 栗林みな実
Still I Love You 〜みつめるよりは幸せ〜 - KIRIKO
二人のクリスマス - rino
悲しみの向こうへ - いとうかなこ
hello, my happiness - 橋本みゆき
マジカルハート☆こころちゃんのテーマ - マジカルハート（亜城めぐ）

評価・反響

アニメキャラクター事典サイト「キャラペディア」のアンケートでは、「早く別れて欲しいアニメ・漫画のカップル」で、伊藤誠と桂言葉が第4位、伊藤誠と西園寺世界が第9位にランクインしました。また、「最終回にもっとも衝撃を受けたアニメ・漫画」では、第2位に選ばれました。

フジテレビのバラエティ番組でも、市川紗椰のプレゼンコーナーで「ラストが衝撃！切なすぎるアニメランキングベスト3」の第2位として紹介され、最終回の一部シーンが使用されたことで話題になりました。イギリスのウェブサイト・UK Anime Networkでは、テレビアニメシリーズに対し10点中7点の評価を受けています。一方で、THEM Anime Reviewsでは、レビュワーが星1つを付け「不快でばかげていて、たちが悪い」と酷評しています。

2015年6月12日、中国の文化部が国内で規制するアニメ・漫画作品の一つとして、『School Days』を挙げました。2016年以降、クリスマス期間中にABEMAで全話一挙配信されることが恒例となっています。