Snoozer

snoozer：音楽シーンを彩った、異色の音楽雑誌

『snoozer』は、1997年4月から2011年6月まで、リトルモアより発行されていた音楽雑誌です。単なる音楽情報誌に収まらない、その独特の編集姿勢と圧倒的なボリュームで、多くの音楽ファンを魅了しました。

編集長・田中宗一郎の独自性

元『rockin'on』副編集長である田中宗一郎氏が編集長を務めた『snoozer』は、隔月刊誌にも関わらず、日本の音楽雑誌の中でもトップクラスのページ数を誇っていました。大きなサイズの誌面には、迫力ある写真と、深く掘り下げたインタビュー記事が掲載され、そのボリューム感と読み応えは、多くの読者を惹きつけました。発売日が遅れることも珍しくなく、ページ数も号によって大きく変動するなど、型にはまらない自由なスタイルも特徴の一つでした。基本的には田中宗一郎氏自身の視点が色濃く反映された雑誌であり、編集スタッフも時期によって大きく変化し、記事の内容に合わせて多彩なライターが起用されました。

多様なアーティストと鋭い視点

『snoozer』は「ポピュラーミュージックマガジン」を謳いながらも、ロックやポップスにとどまらず、編集長の独自性に基づいた幅広いジャンルのアーティストを取り上げていました。毎号、大きな特集記事が組まれ、それに関連したランキング記事なども掲載され、誌面の大きな魅力となっていました。特に、アーティストへのインタビューは、マーケティング戦略からその人物像、音楽性に至るまで深く掘り下げ、その鋭い視点と綿密な取材は、雑誌の大きな特徴であり、読者から高く評価されていました。

表紙を飾ったアーティストたち

『snoozer』の表紙を飾ったアーティストは、その多様性からも雑誌の姿勢が見て取れます。オアシス、ザ・ビートルズ、レディオヘッドといった、世界的に有名なアーティストから、thee michelle gun elephant、くるりといった日本のアーティストまで、幅広いラインナップが揃っていました。その他にも、エイフェックス・ツイン、ベック、U2、SUPERCAR、ビースティ・ボーイズ、プライマル・スクリーム、ザ・ストロークス、R.E.M.、スーパー・ファーリー・アニマルズ、アークティック・モンキーズ、t.A.T.u.、MIKAなど、数多くのアーティストが表紙を飾りました。

寄稿したライター陣

『snoozer』には、音楽ジャーナリストやライター、作家など、多くの才能ある人々が寄稿しました。野田努氏、鹿野淳氏、久保憲司氏、岡村詩野氏、萩原麻理氏、村圭史氏、小野島大氏、木下充氏、田中亮太氏、唐沢真佐子氏、坂本麻里子氏など、それぞれの専門性と独自の視点を持ったライター陣が、雑誌に多様な視点を提供しました。

音楽史に名を刻んだ雑誌

2011年6月発行の86号をもって、『snoozer』は終刊となりました。しかし、その短い期間に多くの読者を魅了し、日本の音楽シーンに大きな影響を与えたことは間違いありません。独自の視点、圧倒的なボリューム、そして多くの才能が集結した『snoozer』は、音楽雑誌の歴史に、その名を刻む存在と言えるでしょう。

もう一度検索