Super Video Graphics Array

SVGA：VGAを超えたビデオ規格

Super Video Graphic Array（SVGA）は、ビデオ規格における重要な進化を示す名称です。文字通りVGAの上位互換規格であり、VGAの解像度と色数を超える様々な表示モードを包括する総称として広く認識されています。そのため、800×600ピクセルという解像度をSVGAと呼ぶことも一般的ですが、これはSVGAが持つ多くの解像度のうちの一つに過ぎません。

VGAからの発展とSVGAの誕生

初期のVGA規格は、最大640×480ピクセル、16色表示という制限がありました。しかし、より高精細な表示を求める声は、MS-DOSユーザーを中心に高まっていきました。ソフトウェア的な工夫で表示限界を超える試みもみられましたが、抜本的な解決には至りませんでした。

Microsoft Windowsの普及とともに、高解像度・高性能なグラフィックへの需要は爆発的に増加しました。各グラフィックコントローラメーカーはこぞって高性能なビデオチップを開発、ビデオカードに搭載しました。これらはWindowsの高速化・高解像度化に貢献したことから「ウィンドウアクセラレータ」と呼ばれ、市場を席巻しました。

しかし、メーカー各社が独自拡張を繰り返した結果、表示モードの非互換性が発生。デバイスドライバの開発は複雑化し、動作の保証も困難な状況となりました。この問題を解決するために、Video Electronics Standards Association（VESA）がVESA BIOS Extensionsを策定しました。これはBIOSレベルで画面サイズ、色数、リフレッシュレート、フレームバッファのアクセス方法などの違いを吸収する仕組みです。これにより、異なるメーカーのビデオカードでも互換性のある表示環境が実現できるようになりました。

SVGAの定義と代表的な解像度

VESAが定義したSVGAは、VGAとの互換性を持ち、かつそれ以上の解像度・色数を実現する規格です。そのため、800×600ピクセルはSVGAを代表する解像度の1つではありますが、SVGAの定義を満たす解像度は他にも多数存在します。例えば、640×480ピクセルであっても256色表示が可能であればSVGAに含まれ、1024×768ピクセル（XGA）、1280×1024ピクセルなども、VGAとの互換性があればSVGAの範疇に含まれます。重要なのはVGAとの上位互換性であり、特定の解像度に限定されるものではありません。

SVGAと現代のディスプレイ

現代のPCでは、SVGAはもはや標準的な解像度とはみなされず、はるかに高解像度のディスプレイが主流となっています。しかし、SVGAはPCグラフィックの歴史において重要な役割を果たし、高解像度表示への道を切り開いた規格です。VESAが標準化に尽力したことで、PC業界全体で互換性の高いグラフィック環境が構築され、PCの発展に大きく貢献しました。SVGAは、現代の高解像度ディスプレイの基礎を築いた重要な技術と言えるでしょう。

まとめ

SVGAは、単なる一つの解像度ではなく、VGAとの互換性を維持しつつ、より高解像度・高色数表示を可能にしたビデオ規格の総称です。800×600ピクセルという解像度はSVGAを代表するものの1つではありますが、SVGAの定義はそれよりも広範です。VESAの標準化努力によって実現したSVGAは、PCグラフィックの歴史において重要な転換点を示すものと言えるでしょう。

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