T-01B

dynapocket T-01B：東芝最後のドコモ製スマートフォン

2010年6月18日にNTTドコモから発売されたdynapocket T-01Bは、東芝が開発したWindows Mobile搭載のスマートフォンです。同社のドコモ向け携帯電話としては最後の製品となり、その歴史的意義も持っています。

特徴的な機能と仕様

T-01Bは、4.1インチの大型有機ELディスプレイと、スライド式のQWERTYキーボードを搭載。当時としては高解像度で、快適な操作性を実現していました。OSにはWindows Mobile 6.5.3を採用し、抵抗膜式だった前機種T-01Aから静電容量式タッチパネルへと進化。よりスムーズな操作が可能となりました。

ネットワーク面では、下り最大7.2Mbps、上り最大5.7MbpsのHSUPAに対応し、高速データ通信を実現。Wi-FiとBluetoothにも対応していましたが、3Gパケット接続との同時利用は不可でした。

独自のUI「NX!Screen」を採用し、ホーム画面にショートカットやウィジェットを配置できるなど、直感的な操作性を追求。TwitterやFacebookへの直接投稿機能も備えていました。アプリケーションのダウンロードは、Windows Marketplace for Mobileに加え、当時ドコモがAndroid向けに先行して開始していたドコモマーケットにも対応。ニュースや天気情報、ゲームなど、多様なコンテンツが利用できました。

その他、よく使うWebサイトやアプリを表示するパーソナルログボタン、動画や音楽配信サービスに対応したマルチメディアブラウザ「Kinoma Play」、世界対応GPS、海外ローミングサービス「WORLD WING」など、充実した機能を搭載していました。メールはPOP3、IMAP4に対応し、Gmailなどのプッシュ型メール受信も可能でした。

プリインストールアプリには、電子書籍リーダー、名刺OCR、セキュリティソフトなど、実用的なものが多数含まれていました。また、Microsoft Office Mobile（Word、Excel、PowerPoint、OneNote）も搭載されており、モバイル環境での作業効率も高められていました。

歴史と関連製品

T-01Bは、2010年3月にFCC（アメリカ連邦通信委員会）を通過し、同年5月に発表。6月18日に発売されました。同年9月1日のspモード開始に伴い、iモードメールの利用が可能となりました。

東芝は2010年10月に携帯電話事業を富士通東芝モバイルコミュニケーションズに移管したため、T-01Bは同社最後のドコモ製スマートフォンとなりました。その後、2012年12月にデジタルフォトフレーム「フォトパネル 05 Powered by REGZA」を発売し、東芝ブランドの端末供給を再開しました。

T-01Bとほぼ同時期に発売された、Android搭載のXperia SO-01BやLYNX SH-10B、BlackBerry Bold 9700といった競合機種の存在も、市場におけるT-01Bの位置づけを考える上で重要です。また、au向けに発売された同型機種dynapocket IS02も注目に値します。

まとめ

dynapocket T-01Bは、当時としては高機能なスマートフォンとして登場し、多くのユーザーから支持を受けました。しかし、東芝の携帯電話事業撤退という背景もあり、短命に終わった機種と言えるでしょう。それでも、その存在は、日本の携帯電話の歴史において重要な位置を占めていると言えます。有機ELディスプレイやWindows Mobile OS、そして東芝独自のUIなど、その特徴的な仕様は、後のスマートフォン開発にも少なからず影響を与えたと考えられます。

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