T-01A

docomo PRO series T-01A：革新的なWindows Mobileスマートフォン

2009年、東芝はNTTドコモ向けに画期的なスマートフォン「docomo PRO series T-01A」を開発しました。同社がFOMA端末を発売して以来7年ぶり、そしてドコモ向けとしては初のスマートフォンという位置づけです。この端末は、スマートフォンとネットブックの融合を目指した「MID (Mobile Internet Device)」というコンセプトに基づき設計されており、当時としては画期的な機能を数多く搭載していました。

主要な特徴

大画面と快適な操作性: 4.1インチのワイドVGA液晶は、当時の携帯電話としては非常に大きく、Web閲覧、メール作成、オフィス文書編集、地図アプリなどを快適に使用できました。抵抗膜式のタッチパネルを採用し、直感的な操作を実現。10キーパッド、QWERTYパッド、手書き入力と、多様な文字入力方法に対応していました。ATOKによる高度な日本語変換機能も搭載し、予測変換による長文入力もスムーズに行えました。

高度なブラウザ機能: Internet Explorer Mobile（IE6ベース）とNetFront Browser v3.5を搭載。Flash Lite 3.1にも対応しており、YouTubeなどの動画サイトも快適に視聴できました。加速度センサーにより、端末の向きに合わせて画面が自動的に横向きに切り替わる機能も備えていました。

豊富なマルチメディア機能: 「Kinoma Play for NTT DOCOMO」という総合メディアブラウザを搭載。RSSリーダー、ポッドキャスト、YouTube、ニコニコ動画などの動画・音楽配信サービス、ネットラジオ、ネットテレビ、写真共有サイトなどへのアクセスを容易にしました。MPEG-4、AVC/H.264、MP3、AACなど、幅広いメディアファイル形式に対応していました。

高い接続性と拡張性: 無線LAN（IEEE 802.11b/g）、FOMAハイスピード（最大7.2Mbps）、Bluetooth、USBホスト機能に対応。USBメモリ、USBマウス、USBキーボードを接続して利用することができました。国際ローミング（WORLD WING）にも対応し、海外でも利用可能でした。

ビジネス向け機能: Microsoft ActiveSync 4.5によるPCとの同期機能、Microsoft Office Mobile（Word、Excel、PowerPoint）、内蔵辞書（明鏡国語辞典、ジーニアス大英和辞典、ジーニアス和英辞典）、Pushメール対応など、ビジネス用途にも適した機能が充実していました。

その他の機能: GPS、3軸加速度センサー、モーションセンサー、おまかせロックなど、多くの機能が搭載されていました。

ソフトウェアとサービス

Windows Mobile 6.1を搭載し、後にWindows Mobile 6.5への無償アップデートが提供されました。Windows Mobile 6.5へのアップデートにより、Windows Marketplace for Mobileへのアクセスが可能になり、アプリケーションのダウンロードが容易になりました。東芝は「Toshiba Mobile Plaza」という専用サイトで、本機用のアプリを無料で提供していました。

spモードにも対応し、iモードメールと同じ@docomo.ne.jpのメールアドレスを使用したり、絵文字、デコメ絵文字を利用することが可能となりました。ただし、spモードメールを利用するにはOSを6.5にアップデートする必要がありました。

発売と不具合

2009年6月20日に発売されましたが、特定の電話番号への通話において不具合が見つかり、一時販売停止となりました。その後、ソフトウェアアップデートによって不具合は解消され、販売が再開されました。発売後も、microSDカードアクセスエラー、おまかせロック解除不可、お知らせLED不具合、充電時の再起動、アプリケーション起動失敗など、いくつかの不具合が報告され、ソフトウェアアップデートによって順次修正されていきました。

まとめ

docomo PRO series T-01Aは、当時としては非常に先進的な機能を備えたスマートフォンでした。大画面、快適な操作性、豊富なアプリ、高い接続性など、多くの魅力がありました。しかし、いくつかの不具合もあったことから、ソフトウェアアップデートによる改善が継続的に行われました。この端末は、日本のスマートフォン市場の発展に貢献したと言えるでしょう。

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