THE HIT PARADE (松本孝弘のアルバム)

THE HIT PARADE

『THE HIT PARADE』（ザ・ヒット・パレード）は、B'zのギタリスト松本孝弘が「TAK MATSUMOTO」名義で2003年にリリースしたカバーアルバムです。本作は、松本が敬愛する昭和の歌謡曲を、豪華なゲストボーカルを迎えて新たにアレンジした意欲作で、2024年には21年ぶりとなる続編『THE HIT PARADE II』がリリースされ、再び注目を集めています。

アルバム概要

松本は、1996年に洋楽カバーアルバム『Rock'n Roll Standard Club』をリリースしていますが、本作は初の邦楽カバーアルバムとなります。以前から邦楽カバーへの想いがあった松本が、ジャンルを問わず感銘を受けた楽曲をセレクト。主に昭和40年代～50年代の楽曲を中心に、打ち込みを多用したサウンドが特徴的です。

レコーディングはB'zの活動の合間を縫って2002年から2003年頃に行われ、25曲の中から厳選された17曲が収録されました。B'zデビュー15周年の一環としてリリースされたことに加え、当時のカバーブームや収録曲がドラマの挿入歌に使用されたこともあり、オリコン週間アルバムチャートで2位を記録するヒット作となりました。

アルバムのジャケットは漫画タッチで、参加アーティストが街並みに描かれ、店舗の看板などに曲名が書かれているユニークなデザインです。また、アルバム発売日には、松本がテレビ朝日系『徹子の部屋』に初出演し、話題を呼びました。さらに、第18回日本ゴールドディスク大賞では、ロック&ポップ・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、作品としての評価も高いです。

収録曲について

本作には、稲葉浩志、ZARD、倉木麻衣など、豪華なゲストボーカルが参加しています。収録曲は以下の通りです。

1. 勝手にしやがれ（featuring 稲葉浩志）：沢田研二のヒット曲を、B'zの稲葉浩志をフィーチャーしてカバー。フジテレビ系ドラマの挿入歌にも使用されました。
2. 異邦人（featuring ZARD）：久保田早紀の代表曲をZARDのボーカルでカバー。シングルとしてもリリースされました。
3. 涙の太陽（featuring 愛内里菜）：エミー・ジャクソン、青山ミチのカバーで知られる楽曲を愛内里菜が歌い上げています。
4. その気にさせないで（featuring 三枝夕夏・北原愛子・高岡亜衣）：キャンディーズの楽曲を、3人の女性ボーカリストでカバー。松本はキャンディーズのファンだったそうです。
5. イミテイション・ゴールド（featuring 倉木麻衣）：山口百恵の楽曲を倉木麻衣がカバー。アルバムの先行シングルとして発売されました。
6. 港のヨーコ･ヨコハマ･ヨコスカ：ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの楽曲を松本自身がボーカルを担当。本作に参加したボーカリストもコーラスで参加しています。
7. 雨の街を（featuring 松田明子）：荒井由実の楽曲を松田明子がカバー。シングル『異邦人』のカップリングにも収録されました。
8. Paper Doll（featuring Fayray）：山下達郎の楽曲をFayrayがカバー。当時、Fayrayが所属していたレコード会社との関係で、唯一ビーイング系列以外の参加となりました。
9. 「いちご白書」をもう一度（featuring 菅崎茜）：バンバンの楽曲を菅崎茜がカバー。宇徳敬子がコーラスで参加しています。
10. Foggy Night（featuring 滴草由実）：尾崎亜美の楽曲を滴草由実がカバー。大賀好修がプログラミングを担当しています。
11. 少女A（featuring 上原あずみ）：中森明菜の楽曲を上原あずみがカバーしています。
12. ビュン・ビュン（featuring 川島だりあ）：外道の楽曲を川島だりあがカバー。
13. パープルタウン（featuring 竹井詩織里）：八神純子の楽曲を竹井詩織里がカバーしています。
14. 時に愛は（featuring 宇徳敬子）：オフコースの楽曲を宇徳敬子がカバーしています。
15. SPINNING TOE-HOLD：クリエイションの楽曲を、本作唯一のインストゥルメンタルとして収録。稲葉浩志がブルースハープで参加しています。
16. 一人〜I Stand Alone〜（featuring Jeffrey Qwest）：ディーブ平尾、井上堯之の楽曲をJeffrey Qwestがカバー。元々はディーブ平尾の楽曲を、井上がセルフカバーしたものです。
17. 私は風（featuring 中村由利）：カルメン・マキ&OZの楽曲を中村由利がカバー。松本はB'z結成前、カルメン・マキのバンドに参加していました。

こぼれ話

「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」には関西弁バージョンが存在しており、当初は収録予定がなかったものの、制作過程でのミスで一部流通してしまいました。しかし、購入希望の声に応え、正式に流通されることになりました。

2024年には、本作の続編となる『THE HIT PARADE II』がリリースされたことを受け、同年9月4日には、一部楽曲を除く14曲が配信されました。配信版のアートワークは、『THE HIT PARADE II』と連動したデザインに変更されています。

まとめ

『THE HIT PARADE』は、松本孝弘のルーツと音楽的嗜好が色濃く反映された、昭和歌謡への愛が詰まったアルバムです。豪華なゲストボーカル、斬新なアレンジ、そして松本のギタープレイが融合し、多くの音楽ファンを魅了しました。続編のリリースと共に、再びその魅力が注目されています。

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