TOI-2285 b

TOI-2285 b

TOI-2285 bは、太陽系から約137光年離れた宇宙に存在する太陽系外惑星です。この天体は、夜空で比較的見つけやすい星座の一つ、ケフェウス座の方向に位置する恒星、TOI-2285の周囲を巡っています。

発見経緯

その存在は、アメリカ航空宇宙局（NASA）が運用するトランジット系外惑星探索衛星TESSによる精密な観測によって初めて捉えられました。TESSは、恒星の前を惑星が横切る際に発生する、ごくわずかな光の減衰（トランジット）を検出することで系外惑星候補を探査するミッションです。TOI-2285 bの場合、TESSの観測データにおいて、主星TOI-2285の明るさが周期的にわずかに低下するパターンが確認され、「TOI-2285.01」という惑星候補として指定されました。この初期の検出後、研究チームは世界各地の地上望遠鏡を用いたフォローアップ観測を実施し、TESSによって捉えられたシグナルが確かに惑星の存在に起因するものであることを独立に確認しました。これらの観測結果をまとめた研究論文が2021年10月19日に天文学のプレプリントサーバーであるarXivに投稿され、TOI-2285 bの発見が公となりました。

軌道と特性

TOI-2285 bは、主星TOI-2285の周りを約27.3日の周期で公転しています。この公転周期は、多くの既知の系外惑星と比較して短すぎず長すぎず、詳細な研究に適した範囲と言えます。惑星の軌道は、主星のハビタブルゾーン、すなわち液体の水が惑星表面に安定して存在しうる温度条件を満たす領域のすぐ外側に位置しています。具体的には、TOI-2285 bが主星から受け取る光のエネルギー量は、地球が太陽から受け取る量の約1.54倍と計算されています。このエネルギー量は、表面に直接液体の水が存在するにはやや高温すぎる可能性を示唆しています。惑星の物理的な性質に関しては、質量や半径から「ミニ・ネプチューン」と呼ばれるタイプの系外惑星に分類されると考えられています。ミニ・ネプチューンは、一般的に地球よりも大きく、天王星や海王星よりも小さい惑星で、厚い水素やヘリウムの大気の下に、氷や岩石からなる核を持つと推測されています。

水の存在可能性に関する議論

TOI-2285 bがハビタブルゾーンの外にあるにもかかわらず、この惑星が液体の水を内部に持ちうる可能性が議論されている点は特に興味深い側面です。ミニ・ネプチューン型惑星は、その厚い大気層や内部構造のために、地球型惑星とは異なる水の保持メカニズムを持つ可能性があります。具体的には、TOI-2285 bのような惑星がもし豊富な水素を主成分とする厚い大気を持っている場合、その大気の下には高い圧力と温度の環境が形成されます。このような条件下では、たとえ表面温度が高くても、内部の比較的低温かつ高圧な層に水の層が存在し、その層の表面部分が液体の状態を保つことができると考えられています。これは、惑星の居住可能性を考える際に、単に表面温度だけでなく、惑星の大気組成や内部構造も考慮に入れる必要性を示唆しています。TOI-2285 bの研究は、ハビタブルゾーンという概念を拡張し、より多様な環境における水の存在可能性を探る上で重要な事例の一つと言えるでしょう。

まとめ

TOI-2285 bは、約137光年彼方の恒星系に存在するミニ・ネプチューン型惑星であり、ハビタブルゾーンのわずかに外側を公転しています。TESSによる発見から地上観測による確認を経て、その詳細な軌道やエネルギー量が明らかになりました。特に、厚い大気の下に液体の水が存在しうる可能性が指摘されている点は、系外惑星における水や生命探査の研究において注目すべき点であり、今後のさらなる観測や理論的研究が待たれる天体です。

もう一度検索