Ta 400 (航空機)

フォッケウルフ Ta 400

フォッケウルフ Ta 400は、1943年にナチス・ドイツのフォッケウルフ社により開発された、アメリカの爆撃機計画に対抗するための6発エンジンを持つ長距離重爆撃機の試作機です。この機体は、第二次世界大戦の激しい戦況の中で設計され、特に先進的な設計が特長です。

概要

Ta 400は、複数の国から調達された部品を使用して製造された航空機として、国際的な協力が形になった結果の一つといえます。クルト・タンクによって設計されたこの機体は、爆撃や長距離偵察任務に特化したものであり、さまざまな先進技術が盛り込まれています。

主翼は肩翼配置で、上反角を持ちながら、6基のBMW 801D 星型エンジンを搭載しています。さらに、後にユンカースのユモ 004B-1ターボジェットエンジンが就航し、性能の向上が期待されました。1942年のガイドラインに基づき、フォッケウルフ社は爆撃機の設計を行い、Daimer-Benz DB 603またはユンカース ユモ 222を搭載する案も考えられました。この機体は、アメリカのボーイング B-29の影響を受け、与圧されたキャビンと足場の銃座を持っているのが特徴です。

Ta 400は大量の燃料を32個のタンクに搭載でき、長時間の飛行を可能にしました。また、3点式の降着装置を備え、搭乗員は合計9名で、重防御火器として10門のMG 151/20機関砲を装備していました。この重火力により、長距離の任務でも十分な防御力を誇りました。

性能と仕様

この機体は、最大で24トンの爆弾を搭載可能であり、DB 603エンジンを搭載したエディションは全備重量80.27トンで、偵察任務においては325 km/h（202 mph）の巡航速度を達成し、驚異的な12,000 km（7,500 mi）の航続距離を持っていました。さらに、爆撃機型としては、76.07トンと80.87トンの2つのモデルが考案され、それぞれ4,500 km（2,800 mi）および10,600 km（6,600 mi）の航続能力を有する予定でした。また、ユモ 004ターボジェットエンジンを装備した場合、長距離偵察型では14,000 km（8,700 mi）、爆撃機型でも13,000 km（8,100 mi）の飛行が可能と期待されていました。

機体デザイン

Ta 400のデザインもまた、従来の爆撃機とは一線を画するものでした。水平尾翼の端には2枚の垂直尾翼が取り付けられ、長い主翼の中央部分は直線的な形状をしており、外翼は鋭利な先細りのデザインが施されています。この洗練されたデザインにより、高速飛行や機動性が向上し、様々なミッションに対応できる能力を持っていました。

開発の結末

Ta 400は、メッサーシュミットMe 264の代替機として計画された経緯がありますが、初期段階から開発にかかる資源や工数が問題視されるようになりました。このため、1943年10月15日にドイツ航空省（RLM）はフォッケウルフ社に対し、本機の開発を中止する旨を通告しました。様々な革新が期待されたTa 400は、航空史の中で一つの重要な歩みとして記憶されています。

仕様詳細

• - 乗員：6名
• - 全長：28.7 m
• - 全幅：45.8 m
• - 全備重量：60,000 kg (132,000 lb)
• - エンジン：BMW 801D、1,700 hp × 6
• - 最高速度：635 km/h
• - 武装：MG 151/20機関砲 × 10
• - 爆弾搭載量：10,000 kg

Ta 400は、その優れた設計と性能から多くの期待を寄せられましたが、最終的には戦争の激化に伴う事情から開発が停止されました。

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