UボートXVIIB型

UボートXVIIB型：革新的なヴァルター機関搭載潜水艦

UボートXVIIB型は、第二次世界大戦中にドイツ海軍が極秘裏に開発を進めた沿岸哨戒潜水艦です。ヘルムート・ヴァルター博士が提唱した革新的なヴァルター機関を搭載し、従来の潜水艦とは一線を画す水中高速力の実現を目指しました。この型は実験艦としての側面が強く、1943年から1944年の間にわずか3隻のみが建造されました。

ヴァルター機関：水中高速力の源泉

ヴァルター機関は、高濃度の過酸化水素を燃料として使用する非大気依存推進（AIP）システムです。これにより、UボートXVIIB型は、大気中の酸素を必要とせずに長時間の水中航行が可能となり、従来の潜水艦をはるかに凌ぐ高速力を発揮することが期待されました。しかし、過酸化水素の取り扱いの難しさや、機関の複雑さなど、実用化には多くの課題が残されていました。

戦後の運命：技術の継承

第二次世界大戦終結後、建造された3隻のUボートXVIIB型のうち、2隻がアメリカとイギリスに接収されました。アメリカに渡ったU1406は、実験に供された後、1948年に解体されました。一方、イギリスに接収されたU1407は、HMSメテオライトとして再就役し、ヴァルター機関の研究に貢献しました。メテオライトでの実験データは、後のイギリスのエクスプローラー級潜水艦の開発に活かされたといわれています。

同型艦

U-1405 (Unterseeboot 1405)
U-1406 (Unterseeboot 1406)
U-1407 (Unterseeboot 1407)

主要諸元

排水量 (水上/水中)：312トン / 337トン
全長：41.5メートル
全幅：4.5メートル
喫水：4.3メートル
速力 (水上/水中)：8.8ノット / 25ノット

関連項目

非大気依存推進（AIP）
メテオライト (潜水艦)
* エクスプローラー級潜水艦

UボートXVIIB型は、その革新的な技術により、後の潜水艦開発に大きな影響を与えた潜水艦といえるでしょう。

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