U99 (潜水艦・2代)

U99：第二次世界大戦で活躍したUボート

U99は、第二次世界大戦中にドイツ海軍が運用したUボート、UボートVIIB型の一隻です。その戦果は目覚ましく、8回の出撃で計38隻、総トン数244,658トンもの連合国船舶を撃沈し、第二次世界大戦において最も成功したUボートとして知られています。

概要

U99は、1939年3月31日にキールのゲルマニアヴェルフト造船所にて起工され、翌1940年3月12に進水しました。艦長にはオットー・クレッチマー少佐が任命され、キール（後にサン・ナゼール）を母港とする第7潜水隊群に配属されました。

U99は、その短い生涯の中で8回の出撃を重ね、数々の戦果を挙げましたが、1941年3月17日、HX112船団への攻撃中にイギリス駆逐艦「ウォーカー」の攻撃を受け、ついに撃沈されました。

戦歴

訓練期間

1940年4月から6月にかけて、U99はキールとサン・ナゼールを拠点に訓練を実施し、実戦に向けて練度を高めました。

最初の出撃

1940年6月18日、U99はノルウェー西方、北海での作戦のためキールを出港しました。しかし、出港直後には、ドイツ戦艦「シャルンホルスト」艦載の水上機Ar-196から、イギリス潜水艦と誤認され攻撃を受けるというアクシデントが発生。さらに2日後には、2機の航空機からの攻撃を受け、軽微な損害を被りました。U99は6月25日にキールに帰港し、修理を行いました。

2回目の出撃

1940年6月27日、U99はアイルランド南西の哨戒のため、ヴィルヘルムスハーフェンを出港しました。6月29日にはイギリス軍機による攻撃を受け、緊急潜航を余儀なくされました。この際、海底に衝突し、軽微な損傷を負いました。

しかし、この哨戒でU99は6隻の船舶を撃沈、1隻を拿捕するという戦果を挙げました。拿捕されたのは、エストニアの貨物船「メリサール」(2136t)で、ニューオーリンズからアイルランドのコークまで木材を輸送していました。7月7日には、「マニスティ」(5360t)への攻撃を試みましたが、武装商船の反撃を受け、中止せざるを得ませんでした。7月8日、HX53船団への攻撃中には、100発以上の爆雷攻撃を受けましたが、U99は無傷で切り抜け、7月21日に帰港しました。

3回目の出撃

1940年7月25日、U99はロリアンから北大西洋に向け出港しました。この出撃では、4隻の商船を撃沈、3隻に損害を与えました。7月31日には、OB191船団の護衛艦から20発の爆雷攻撃を受けましたが、損害はありませんでした。同日の夕方には、飛行艇からも攻撃を受けましたが、これもU99に損害を与えるには至りませんでした。U99は8月5日に帰港しました。

4回目の出撃

1940年9月4日、U99はロリアンを出港し、北大西洋に向かいました。この出撃でU99は7隻の船舶を撃沈し、9月25日に帰港しました。9月27日には、ロリアン空襲で小破する被害を受けました。

5回目の出撃

1940年10月13日、U-99は北西航路を哨戒するためロリアンを出港しました。SC7船団に遭遇し、6隻を撃沈、1隻に損害を与え、10月22日に帰港しました。

6回目の出撃

1940年10月30日、U99はロリアンを出港し、北西航路に向かいました。この出撃でU99は4隻を撃沈し、11月8日に帰港しました。

7回目の出撃

1940年11月27日、U99はロリアンを出港し、北西航路に向かいました。この出撃でU99は4隻を撃沈し、12月12日に帰港しました。

8回目の出撃と最期

1941年2月22日、U99はロリアンを出港し、北西航路に向かいました。最後となったこの出撃でU99は8隻を撃沈しましたが、自らも甚大な損害を被りました。1941年3月17日、U99が最後の魚雷を発射しスウェーデン船「コルシャム」を撃沈した頃、当直士官がアイスランドの南東、北緯61度 西経12度の位置に駆逐艦を発見しました。当直士官はクレッチマーの定めた手順に反して急速潜航を命じたものの、潜航するとすぐにソナーに捕捉されてしまいます。イギリス駆逐艦「ウォーカー」と「ヴァノック」による攻撃によりU99は甚大な損害を受け、浮上せざるを得なくなりました。浮上するとすぐさま集中砲火がU99を襲いました。

艦長のクレッチマーはウォーカー艦長、ドナルド・マッキンタイアに"CAPTAIN TO CAPTAIN. I AM SUNKING. PLEASE RESCUE MY CREW."（U99艦長からウォーカー艦長へ。我が艦は現在沈没している。乗組員の救助を求む。）と通信を送り、艦を自沈させました。クレッチマーを含む乗組員40名が救出され捕虜となりましたが、機関士官1名と普通船員2名の計3名が犠牲となりました。

この機関士官はU99の自沈を早め、イギリス軍による接収を防ぐために艦に戻り、調理室のハッチを開けている間に沈没に巻き込まれたのでした。

まとめ

U99は、第二次世界大戦初期において、ドイツ海軍のUボート戦を象徴する存在でした。艦長オットー・クレッチマーの卓越した指揮と、乗組員の勇敢な働きにより、数々の連合国船舶を撃沈し、その名を歴史に刻みました。しかし、大戦の激化とともに、連合国側の対潜能力が向上し、U99もその運命を閉じることとなりました。

参照

1940年7月の沈没船一覧
1940年8月の沈没船一覧
1940年9月の沈没船一覧
1940年10月の沈没船一覧
1940年11月の沈没船一覧
1940年12月の沈没船一覧
* 1941年3月の沈没船一覧

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