VIA C7

VIA C7 (ヴィア シーセブン)とは

VIA C7は、台湾のVIA Technologies社が開発・販売していたx86互換プロセッサです。同社のVIA C3の後継として、2005年5月に発表されました。開発コードは「Esther(C5J)」。

開発は、CyrixIIIやC3と同様に、旧Centaurチームが担当しました。このチームは少数精鋭で、100人足らずの技術者で構成されています。

概要

VIA C7は、低価格、低消費電力、そして日常的なアプリケーションでの利用に特化した設計がされています。そのため、総合的な性能では競合他社製品に劣る部分もありますが、省電力性においては高い評価を得ています。中国標準化認証センターからは省エネ認定を受けており、「カーボンフリープロセッサ」として省エネ性能をアピールしています。

C7は、主にマザーボードにオンボードで搭載され、21mm四方のNanoBGA2パッケージで販売されています。例外として、VIA EPIA PNシリーズではMicro PGA479パッケージのC7が搭載されましたが、これもオンボード扱いで、他のSocket 479対応マザーボードでの動作は保証されていません。

公式には2005年5月に出荷開始となっていますが、実際の量産品の出荷はそれ以降であったとされています。2006年5月にはVIAとインテルとのクロスライセンス契約が更新されず、これによりVIAはSocket 370に対する製品化の権利を失いました。

設計思想

競合他社がトランジスタ数を増やすことで性能向上を目指すのに対し、VIA/Centaurは、バランスの取れた性能を重視した設計思想を採用しています。C3シリーズの設計哲学を基本としており、効果的なフロントエンド（プリフェッチ、キャッシュ、分岐予測機構）を重視することで、複雑なスーパースカラやアウトオブオーダー機構を搭載したCPUに匹敵する性能をシンプルなコアで実現することを目指しました。

C7では、特にフロントエンドの強化に力が入れられ、プリフェッチ機構だけでなく、キャッシュのサイズやウェイ数、スループットが改善されています。

特徴

低消費電力: クロック周波数2GHzで、TDP（熱設計電力）は20W以下。競合製品であるインテルのPentium Mと比較して、大幅に低い消費電力を実現しています。
キャッシュの強化: L2キャッシュは64kBから128kBに増量。また、セットアソシエイティブも16ウェイから32ウェイに拡張されています。
独自のバスインターフェース: VIAは、C7のバスは物理的にはPentium MのSocket479パッケージをベースにしていますが、法的侵害を避けるために独自のVIA V4バスを使用しています。しかし、一部の評論家は、同一のマザーボードにPentium MとC7の両方を挿入できることを発見しており、VIAのFlexi-Busテクノロジーによる自動判別機能によるものだと考えられています。
Twin Turboテクノロジー: 2つのPLLを搭載し、クロック周波数を瞬時に切り替えることで、電力管理を高度に行います。インテルのSpeedStep テクノロジーよりも高速で、効率的な電力管理が可能です。
拡張命令のサポート: SSE2およびSSE3命令をサポートしています。
セキュリティ機能: NXビットを導入し、バッファオーバーフロー攻撃やウィルス攻撃に対する防御機能を搭載しています。
ハードウェア暗号化: SHA-1とSHA-256のハードウェアレベルでのサポートに加え、公開鍵暗号のために32k長までの鍵サイズをサポートするモンゴメリ乗算をハードウェアレベルでサポートしています。
製造プロセス: IBM半導体部門が開発した90nmのSOI製造プロセスを採用しています。

バリエーション

販売されているC7には、いくつかのバージョンが存在しますが、一般的にはまとめてC7と呼ばれています。

採用例

VIA C3と同様に、VIA社製Mini-ITXマザーボードにオンボード搭載され、組み込み市場で多く利用されています。また、英国のEvesham TechnologyやTranquil PCのカーボンフリーPC、米国のEverex Systemsのノートパソコン、OQO model 02や一部のUMPCにも採用されました。

2008年には、ヒューレット・パッカードがC7-Mを採用したHP2133 Mini-NotePCを発表し、VIA社プロセッサが大手PCメーカーの機種に初めて採用されたことで話題となりました。

これらの採用例から、VIA C7は従来の同社CPUと比較して、着実にPC市場での存在感を高めていると言えます。

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