VT1 (戦車)

VT1: 無砲塔形式の試作主力戦車

「VT1」は、1970年代初頭に西ドイツで開発された無砲塔方式の主力戦車です。二つの主砲を搭載し、この車両は「Versuchsträger」として知られ、試験車両としての役割を果たすことを目的としました。その背景には、レオパルト1戦車の後継機を思案する計画「カンプフパンツァー3」がありました。

開発の経緯

VT1の最初の試作車両、VT 1-1は、1974年にマシーネンバオ・キールによって製作されました。その次の年にはVT 1-2が続きました。これらの車両は、戦車に二門の主砲を装備するという概念を検証するために開発されたものです。さらに、1975年と1976年には5両の戦場試験車両（GVT）が設計され、より高い機動性を追求した試験が行われました。

設計の特徴

VT 1の基本設計は、MBT-70戦車の車体を短縮したもので構成されています。自動装填装置は搭載されておらず、4人の乗員が必要です。また、すべてのVT戦車は、第二次世界大戦後のドイツ駆逐戦車の設計理念を受け継いでいます。VT 1-2は過給機を備えたエンジンを使用し、通常時に1,500PS、緊急時には2,400PSの出力を発揮しました。

車両の前部には、操縦手、車長、砲手のための3人分の座席が配置されています。しかし、VT 1-2に関する見解では、レオパルト2との比較で特別な優位性がないことが分かりました。レオパルト2は先進的な射撃管制装置を搭載しており、高い初弾命中率を誇っていました。これは、VT 1-2の二連装主砲と同等かそれ以上の精度を持つものでした。

設計要件

VT戦車には以下のような設計目標がありました:
1. 反応時間の短縮: ケースメート構造により、射撃反応を早め、命中率を上げ、破壊力を高める。
2. 機動力の向上: より強力なエンジンと新設計のサスペンションを搭載。
3. 生存性の強化: 小型化された搭乗員区画と前面装甲の強化を図り、斜め走行能力を活かして耐久性を高める。

VT 1-1は、105mmのライフル砲を人力で装填し、VT 1-2は自動装填装置を備えた120mm滑腔砲を装備していました。GVTモデルでは実際の砲は装備されず、主砲のシミュレーターを搭載して模擬戦闘を行いました。

派生型

• - VT 1-1: 105mmの施条砲を搭載し、装填は人力。
• - VT 1-2: 自動装填装置付きの120mm滑腔砲を装備し、エンジンが強化されています。
• - GVT 01 - GVT 05: これらは試験用シミュレーターを装備した試作車両です。

関連項目

• - M50オントス自走無反動砲: 6門のM40 106mm無反動砲を積んだ戦車駆逐車。
• - 60式自走106mm無反動砲: 2門の105mm無反動砲を搭載した対戦車車両。
• - Strv.103: 同時期に開発された無砲塔形式の主力戦車。

VT1は、多くの技術的に挑戦し続けた結果、実用化には至りませんでしたが、そのデザインや技術的要素は後の戦車開発に影響を与え続けています。

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