V/W級駆逐艦

イギリス海軍 V/W級駆逐艦

V/W級駆逐艦は、第一次世界大戦中にイギリス海軍が建造した駆逐艦の艦級です。この艦級は、アドミラルティV級、アドミラルティW級、そして特型であるソーニクロフトV/W級など、いくつかのタイプに分類されます。設計当初はドイツ海軍の新型水雷艇に対抗するため、砲熕火力の強化が重視されました。

来歴

1910年代初頭、イギリス海軍の駆逐艦は10.2cm砲3門を搭載するのが標準でしたが、ドイツ海軍がより大口径の12.7cm砲を搭載した水雷艇を開発したという情報を受け、イギリス海軍は駆逐艦の火力強化に乗り出しました。当初は15.2cm砲の搭載も試みられましたが、最終的には10.2cm砲を4門に増強する設計が採用されました。また、魚雷発射管の3連装化も計画されましたが、開発の遅延により、初期のV級では連装型が搭載されました。3連装型が間に合った艦はW級と称されました。その後、ドイツ海軍の駆逐艦への過大評価が判明し、1917年度計画艦は一旦R級ベースのS級となりましたが、1918年度では再び本級をベースとし、火力強化を図った改W級が建造されました。

設計

V/W級駆逐艦は、船首楼型の船型を維持しつつ、艦砲の増強に伴い艦内配置を大きく変更しました。艦首側に背負式に艦砲を配置するため、船首楼甲板を延長し、外板にはフレアを付けました。これにより、甲板作業が容易になり、居住性も向上しました。艦橋構造物も幅が広くなり、内部区画は全面的に見直されました。操舵室や海図室は2階に移され、給弾室、待機所、電信室、作戦室が1階に配置されました。また、艦橋上部に測距儀を配置し、探照灯は魚雷発射管付近のプラットフォームに移設されました。この配置は、後の艦橋構造配置の雛形となりました。

機関は、おおむねR級のものが踏襲されました。主機はブラウン・カーチス式オール・ギヤード・タービンを基本とし、ボイラーはヤーロウ式重油専焼水管ボイラーを基本としました。排水量の増大にもかかわらず機関は増強されなかったため、最大速力は34ノットに低下しました。ただし、特型のソーニクロフトV/W級およびソーニクロフト改W級では、高速発揮を狙い計画出力を増強し、36～38ノットを記録しました。

最初の5隻は嚮導艦として設計され、司令部設備や大型前部マストを備えていました。

装備

本級では、10.2cm砲を4門搭載し、1・2番砲は船首楼甲板に、3・4番砲は艦尾甲板に背負式に配置しました。改W級では、12cm砲へと更に強化されました。対空兵器として、40mm高角機銃の代わりに7.6cm高角砲を搭載しました。魚雷発射管は、当初は連装型でしたが、後に3連装型が搭載されました。一部のV級は、機雷敷設艦としても運用できるように改装されました。

WAIR改修

第二次世界大戦直前には、36隻の本級に対してWAIR改修が行われました。この改修では、レーダーやソナーの搭載、対空兵器の強化、対潜爆雷の搭載が行われ、防空・対潜護衛艦としての能力が向上しました。また、WAIR改修を受けなかった艦も、レーダーやソナー、機銃や対潜兵器を搭載し、護衛駆逐艦として投入されました。

同型艦

多数の同型艦が建造され、第一次世界大戦から第二次世界大戦まで活躍しました。

参考文献

（参考文献のリストは省略）

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