Version 5.0

WANDS 7thアルバム『Version 5.0』：新たなWANDSの幕開け

2023年8月30日、WANDSの7枚目のオリジナルアルバム『Version 5.0』がリリースされました。2020年の『BURN THE SECRET』以来となる本作は、ヘヴィなロックチューンから情感豊かなバラードまで、第5期WANDSの幅広い音楽性を余すことなく収録した、まさに集大成と言える作品です。

前作からの進化とバンドとしての確立

前作『BURN THE SECRET』では、過去楽曲のリメイクが数曲収録されていましたが、今作ではその数は大幅に減り、WANDS第5期のオリジナル楽曲が中心となっています。これは、メンバーである柴崎浩と上原大史の意識の変化を反映しています。柴崎は前作を「過去のWANDSを意識したもの」と振り返り、本作では過去にとらわれず、第5期らしい活動が実現できたと語っています。「Version 5.0」というタイトルには、まさにバンドとしての新たな出発、スタートラインに立ったという決意が込められているのです。

上原もまた、前作では「自分にない部分をフィクション的に作っていた」と述べ、本作では自身の現在の心境がストレートに表現されていると語っています。90年代のWANDSを知らない世代にも、先入観なく受け入れてもらいたいという、彼らの強い意志が感じられます。そして、前作を「過去のWANDSと今のWANDSを繋ぐ接着剤」と表現した木村真也（キーボード）に対し、上原は制作活動やライブ経験を経て、もはや接着剤は必要ない、WANDSのボーカリストとしての自分のスタイルを確立できたと確信していることを明かしました。

さらに、今作では「RAISE INSIGHT」以外の既発表曲は柴崎浩によってミックスが再調整され、より洗練されたサウンドに仕上がっています。

リリース形態とプロモーション

『Version 5.0』は、特典Blu-ray付きの初回限定盤A、フォトブックレット付きの初回限定盤B、そしてボーナストラックを追加収録した通常盤の3形態でリリースされました。初回限定盤には全12曲、通常盤には13曲が収録されています。

リリースに先立ち、テレビ朝日「ミュージックステーション」への出演や収録曲の先行配信、ミュージックビデオの公開、ラジオでの初オンエア、試聴サイトの開設など、様々なプロモーション活動が行われました。SPACE SHOWER TVでの特集放送や、タワーレコードでの展示イベントなども実施され、発売前から大きな注目を集めました。

各楽曲の魅力

アルバム収録楽曲は、シングル曲に加え、新曲も多数収録。特に、ライブツアーを意識して制作された「We Will Never Give Up」と「GET CHANCE GET GROW」は、ライブ会場の一体感と興奮を想起させる力強い楽曲です。また、上原大史が作詞・作曲・編曲を全て手掛けた「WONDER STORY」は、彼の新たな才能を示す、重要な一曲となっています。

その他にも、サザンオールスターズの桑田佳祐の影響が垣間見える「官能SADISTICに濡れて」、ライブの盛り上がりを演出する「SHOUT OUT!!」など、バラエティに富んだ楽曲が収録されており、それぞれの楽曲に込められた想いや、制作秘話なども興味深い要素となっています。

ライブツアー「WANDS Live Tour 2023 〜SHOUT OUT!〜」

『Version 5.0』リリースを記念して、2023年9月6日から9月26日にかけて全国ツアー「WANDS Live Tour 2023 〜SHOUT OUT!〜」が開催されました。このツアーは、アルバム収録曲を引っ提げたものとなっており、多くのファンを熱狂させました。ツアーファイナル公演はU-NEXTでライブ配信され、後日Blu-rayとしても発売される予定です。

批評家の評価とチャート成績

『Version 5.0』は、音楽評論家やメディアからも高い評価を得ています。「オリコン」「Billboard Japan」「bounce」「Mikiki」「Real Sound」など、様々な媒体で好意的なレビューが掲載され、その音楽性とバンドとしての成長が広く認められています。チャート成績も好調で、オリコン週間アルバムランキングで6位、週間ROCKアルバムランキングでは1位を獲得するなど、大きな成功を収めました。

まとめ

『Version 5.0』は、過去のWANDSへのオマージュと、現在のWANDSの確固たる個性を融合させた、非常に完成度の高い作品です。新たなファンを獲得しつつも、長年のファンを納得させるだけの魅力と深みを持った、まさに「Version 5.0」に相応しいアルバムと言えるでしょう。このアルバムは、WANDSの新たな歴史の始まりを告げる、記念碑的な作品として長く記憶されるに違いありません。

もう一度検索