VisualAge

VisualAge：IBMが開発した統合開発環境

VisualAge（ビジュアルエイジ）は、IBMが開発した統合開発環境（IDE）のファミリー名称です。多様なプログラミング言語に対応し、その中からEclipseが誕生しました。多くの製品はWebSphere Studio Application Developer、さらにRational Application Developerへと引き継がれ、その歴史はソフトウェア開発の変遷を物語ります。

名称の由来

VisualAgeという名称は、開発チーム内でのコンテストによって選ばれました。最初にリリースされた「VisualAge for Smalltalk」以降、Smalltalkを含む複数の言語やプラットフォームを網羅する共通ブランドとして展開されました。製品名は「IBM VisualAge for Smalltalk」、「IBM COBOL for OS/390|OS_390」のように、個別の言語やプラットフォームを明示する形式が取られました。

主な製品

VisualAgeファミリーには、以下のような製品が含まれていました。メインフレーム系を除き、製品名には途中から「for」が挿入されるようになりました。

VisualAge BASIC (VisualAge for BASIC)
VisualAge COBOL
VisualAge C++ (C、C++、VisualAge for C++)
VisualAge Generator （COBOL風の簡易言語、Cross System Productの後継、Plug-inでEnterprise Generation Language(EGL)もサポート）
VisualAge Java (VisualAge for Java)
VisualAge Pacbase
VisualAge PL/I|PL_I
VisualAge RPG
VisualAge TPF
VisualAge Smalltalk (VisualAge for Smalltalk)

関連製品として、XL Fortranも提供されていました。

対応プラットフォーム

VisualAgeは、以下のプラットフォームに対応していました。ただし、すべての言語がすべてのプラットフォームで使用可能だったわけではありません。

AIX
OS/2
i5/OS （OS/400の後継）
Linux
Mac OS X
Windows
z/OS （MVS、OS/390|OS_390の後継)
z/VSE
z/VM

歴史

開発初期

VisualAgeは、ノースカロライナ州ケーリーにあるIBMの開発研究所で誕生しました。この研究所は1984年に設立され、主にニューヨーク州ポケプシーからIBM社員が異動しました。アプリケーションプログラム開発ツールを担当し、327x端末用のISPFのユーザーインターフェース要素をパーソナルコンピュータ向けに派生させたThe EZ View dialog managerなどを開発しました。

また、グラフィカルユーザーインターフェースが広まり始めた時期に、オブジェクト指向技術を早期に適用し、アプリケーション開発のためのIBM社内言語ClassCを開発しました。IBMのSmalltalkに関する上級技術プロジェクトにより、IBM PC ATクラスのマシンでSmalltalkの実用的な実装が可能になりました。

同時期には、ビジュアルインターフェースを持つ構成ツールも登場しました。IBMのDavid N. SmithによるInterConsなどのSmalltalk研究プロジェクトや、Dan Ingalls率いるAppleのFabrikなどが、対話的でグラフィカルなアプリケーション開発を推進しました。ユーザーインターフェースのより高レベルな構成には、Jean Marie HulotによるLISP用のツールがあり、後のNeXTSTEPやMac OS XのInterface Builderに繋がっています。これらのツールは、WYSIWYGのユーザーインターフェースで、ウィジェットとObjective-Cで書かれたアプリケーションロジックを結びつける開発を可能にしました。

VisualAgeの最初のプロトタイプは、「NeXTのInterface Builderのようなものを作る」という目標と、Smalltalk/Vの開発環境を参考にして開発されました。

1994年には、VisualAge for Smalltalkが製品としてリリースされ、アプリケーションロジックのビジュアルな構築が強調されました。Smalltalkは当時のIBMのSystems Application Architectureでの採用言語ではありませんでしたが、その戦略的な位置づけが強調されました。

発展

VisualAgeファミリーの多くはSmalltalkで開発されました。IBMのSmalltalk実装は、IBM自身や買収した子会社によって、オブジェクト指向で開発が進められました。

VisualAge for Javaは、Smalltalkの仮想機械をベースに、SmalltalkとJavaのバイトコードの両方を実行できるように開発されました。

VisualAge Micro Editionは、組み込み用のJavaアプリケーション開発やクロスシステム開発を支援し、Java用の統合開発環境を再実装したものでした。このMicro Editionが、後のEclipseへと発展しました。

VisualAgeの開発は終了しており、VisualAgeファミリーの多くの製品はWebSphere Studioファミリーの製品に置き換えられました。オリジナルのVisualAge製品（VisualAge for Smalltalk）は、IBMからInstantiationsにライセンスされ、現在はVA Smalltalkとして販売されています。AIX、Linux、z/OS向けのC、C++、Fortranコンパイラは、XL compilerシリーズと改名されました。

参照

外部リンク
IBM
VisualAge for Smalltalk
VisualAge C++
VisualAge COBOL
VisualAge PL/I|PL_I
VisualAge Generator
VisualAge Generatorの過去・現在・未来(PDF)
VisualAge Pacbase user guide
Description from Portland Pattern Repository
VisualAge for Java Tips and Tricks
* VA Smalltalk at Instantiations

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