WWE王座 (世界ヘビー級)

WWE王座：プロレス界の至宝の歴史

WWE王座（WWE Championship）は、アメリカ合衆国のプロレス団体WWEにおける、最も権威ある王座の一つです。その歴史は深く、数々の名勝負やドラマを生み出してきました。王座を巡る抗争は、常に番組のメインストーリーとして扱われ、ファンを熱狂させています。

創設と初期の歴史

WWE王座の創設は、WWEの前身であるWWWF（ワールド・ワイド・レスリング・フェデレーション）設立以前の1963年1月25日に遡ります。初代王者は、リオデジャネイロでのトーナメントを制したバディ・ロジャースとされています。しかし、このトーナメントは実際には行われていなかったという説もあります。当時、ロジャースの防衛スケジュールがアメリカ北東部に偏重していたため、NWA（ナショナル・レスリング・アライアンス）内部から反感を買っていました。その結果、NWA王座はルー・テーズに移動させられましたが、これを不服としたビンス・マクマホン・シニアらがNWAを脱退し、ロジャースを初代王者としてWWWFを結成しました。

当初、ロジャースのタイトルは単に「世界ヘビー級王座」と呼ばれていましたが、後に「WWWF世界ヘビー級王座」として定着しました。1963年5月17日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンにて、ブルーノ・サンマルチノがロジャースを破り、第2代王者となりました。サンマルチノは約8年間に渡り王座を保持し、その名を歴史に刻みました。

変遷と進化

1971年2月には、プエルトリカンの英雄、ペドロ・モラレスが新王者となり、サンマルチノに続くニューヨークのマイノリティのヒーローとして活躍しました。同年8月、WWWFがNWAに加盟したため、タイトルから「世界」の文字が外され、「WWWFヘビー級王座」に改称されました。その後、サンマルチノの第2次政権を経て、ビリー・グラハムやボブ・バックランドといった個性的なレスラーたちが王座を戴冠しました。バックランド戴冠時の1979年3月29日、団体名がWWF（ワールド・レスリング・フェデレーション）に改称され、タイトルも「WWFヘビー級王座」となりました。

1984年、ビンス・マクマホン・ジュニアの新体制下でWWFの全米侵攻がスタートすると、ハルク・ホーガンを主軸とした王座争いに移行しました。再びNWAを脱退したことから、タイトルも「WWF世界ヘビー級王座」として「世界」の文字が復活しました。その後、ランディ・サベージやアルティメット・ウォリアーなども王者となり、WWFのファミリー・エンターテインメント路線を牽引しました。ホーガンがWCWに移籍した1993年以降は、ブレット・ハートやショーン・マイケルズが王座戦線の主役となり、ニュー・ジェネレーション路線を築きました。

1997年、WWFは視聴率争いで先行するWCWに対抗するため、アティテュード路線に転換しました。ストーン・コールド・スティーブ・オースチン、ザ・ロック、トリプルHらを中心とした王座争いがドラマ仕立てで展開され、WWFの会長であるビンス・マクマホンまでもが王者になるという、異例の事態も起こりました。

王座の統一と変遷

2001年12月9日には、WWF王座とWCW王座を統一したWWF統一王座（Undisputed WWF Championship）が新設され、クリス・ジェリコが初代統一王座を戴冠しました。2002年、ブロック・レスナーが統一王座を獲得し、スマックダウン専属となったことから、WWE王座と改称されました。以降はスマックダウンが王座を管轄し、RAWには世界ヘビー級王座が新設され、WWE王座と同等の扱いを受けました。

2013年には、WWE王座と世界ヘビー級王座が統一され、WWE世界ヘビー級王座（WWE World Heavyweight Championship）となりました。これにより、世界ヘビー級王座は廃止されました。その後、名称はWWE王座→WWE世界王座→WWE王座と変遷しました。

2022年4月3日、WWEユニバーサル王者のロマン・レインズが、WWE王者のブロック・レスナーに勝利し、両王座を統一しました。のちにベルトが一本化され、統一WWEユニバーサル王座（Undisputed WWE Universal Championship）を構成する王座の一つとなりました。2024年4月には、王座名が統一WWE王座（Undisputed WWE Championship）へ変更されました。

歴代最多戴冠はジョン・シナの13回です。

WWE王座は、プロレス界の歴史とドラマを体現する、まさに至宝と呼ぶにふさわしい存在です。

WWE Championship（英語）
プロレス選手権変遷史 WWE王座

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