Windows Media Player Legacy

Windows Media Player Legacy (WMP) について

Windows Media Player Legacy（WMP）は、マイクロソフトが開発したメディアプレーヤーで、かつてはWindowsの標準メディアプレーヤーとして広く利用されていました。Windows 11で「メディア プレーヤー」が後継として登場したことで、WMPはレガシー扱いとなり、名称を「Windows Media Player Legacy」と改めました。

WMPの歴史

WMPの原型である「Microsoft Media Player」は、Windows 3.0にマルチメディア拡張機能を追加することで初めて実装されました。その後、Windows 3.1からはOSに標準搭載されるようになり、Windows 95/NT 4.0以降では「Windows Media Player」として別途配布され、Windows 2000からは標準搭載となりました。バージョンアップを重ねるごとに操作性の向上、再生可能なファイル形式の拡充、ストリーミング再生やDRM（デジタル著作権管理）への対応など、機能が拡張されてきました。

ブロードバンド環境の普及に伴い、映画やアニメなどのストリーミング配信にもWMPが採用されることが多くなりました。しかし、著作権保護のためDRMが導入されたコンテンツが増え、最新バージョンでないと再生できないケースが出てきました。そのため、Windows XP以前のOSやMac OSでは、視聴できるコンテンツが制限されるという問題も生じました。

2004年、欧州委員会はWMPがOSにバンドルされていることが競争法に違反すると判断し、マイクロソフトはWMPを除いたWindows XP Home Edition N及びProfessional Nを発売しました。2006年には韓国でも同様の裁定が下り、WMPとインスタントメッセンジャー機能を削除したWindows XP KN/Kが発売されました。

WMPの機能

初期のWMPはメディアファイルの再生機能のみでしたが、ブロードバンド環境の普及とともに、WMP 7からはブロードバンドコンテンツの再生、ジュークボックス機能、音楽CDからの取り込み機能などが追加されました。しかし、機能追加に伴い、動作が重くなる場合もありました。

Windows XP以前のOSや、Windows Vistaの下位エディション、Windows 7の下位エディションでは、MPEG-2デコーダやWindows Media Centerが標準搭載されていないため、DVD-Videoの再生ができませんでした。Blu-ray Discなどの第3世代光ディスクにも全バージョンで対応していませんでした。

Microsoft楽曲データベース

WMP 7以降、マイクロソフトが管理するデータベースからオンラインでアルバム情報を取得できるようになりました。しかし、ユーザーによる誤った情報登録や、メーカーでさえ情報の修正ができないといった問題点が指摘されています。

Windows版WMPの変遷

Microsoft Media Player 3.x - 5.x

Windows Media Player以前のMicrosoftメディアプレーヤーは、Windows 3.1/95/98およびNTに標準搭載されていました。Windows 3.0にもマルチメディア拡張機能を追加することで利用可能でした。XPの頃まで「mplayer.exe」や「mplay32.exe」として残っており、WMPとは別に起動することができました。WMP 6.4導入後も、従来のメディアプレーヤーを起動すればオーディオCDの再生が可能でしたが、デジタル再生には対応していませんでした。

Windows Media Player 6

Windows 2000に標準搭載され、Windows 95/98/NT 4.0向けにも配布されました。特にInternet Explorerにコンポーネントとして付属しており、IEのインストールと同時にインストールできました。WMP 6.4はCOMやActiveXのリファレンス実装としての側面が強く、開発言語から部品として利用しやすい点が特徴でした。このため、雑誌付録CD-ROMやゲームソフトの動画再生に広く採用され、WMP 6.4のインストールが必須となる状況がありました。

WMP 6.4はコーデックをインストールすれば、WMP 9対応のファイルも再生できることがありました。ただし、旧OSではMP3などのコーデックがサポートされていなかったため、WMP 6.4のインストールが必須でした。WMP 6.4は最新版と独立して動作させることができますが、拡張子の関連付けに注意が必要でした。

Windows Media Player 7

Windows Meに標準搭載され、Windows 98/2000向けにも配布されました。外見が大幅に変更され、オーディオCDの再生、ラジオチューナー、再生リスト、ポータブルデバイスへの音楽コピーなどが追加されました。初期のWMP 7はCDライティングツールに不具合があり、Windows 2000でシャットダウン時に停止したり、起動ループに陥るなどの問題がありました。

Windows Media Player for Windows XP (WMP8)

Windows XPの初期版およびSP1に標準搭載され、WMP 9とほぼ同様の外観でしたが、配色が異なっていました。Windows 2000以前には提供されていませんでした。

Windows Media Player 9

Windows XP Service Pack 2に標準搭載され、Windows 98SE/2000/Me向けにも提供されました。Windows 98の初期版は対象外となりました。Windows 98SE/2000/Me版は機能が制限されていましたが、実際は同一の実行ファイルでOSを判別して機能制限をかけているだけでした。メディアバー機能はSP2で廃止され、WMPに統合されました。

Windows Media Player 10

Windows XP Media Center Edition 2005に標準搭載され、Windows XP SP2およびWindows Server 2003向けにも提供されました。Windows XP SP1以前のOSはサポート対象外となりました。CDからMP3ファイルへの直接リッピングが可能になりました。

Windows Media Player 11

Windows Vistaに標準搭載され、Windows XP SP2向けも提供されました。WMP 10よりもグラフィカルになり、64ビット版OSには32ビット版と64ビット版のWMPが付属していました。HD DVDの再生には非対応でした。

Windows Media Player 12

Windows 7以降のWindowsに標準搭載されました。Windows Vista以前のOSには提供されていません。プレイビューとライブラリが完全隔離となり、MPEG-4とAVCHDのコーデックを標準搭載し、FLACとALACの再生と取り込みに対応しました。ただし、対応していないコンテナフォーマットの場合は、スプリッターのインストールが必要でした。Windows 7向けにDVD再生に対応しましたが、BDには非対応でした。

Mac OS版WMP

Mac OS版WMPも公開されていましたが、Windows Mediaの再生に特化したシンプルな機能とウェブブラウザ用プラグインのみを提供していました。Mac OS XとClassic Mac OSの2つのバージョンがあり、後者はWindows Media 9に対応していませんでした。2006年1月にマイクロソフトはMac OS版WMPの開発を終了し、現在はダウンロードもできなくなっています。代わりにFlip4Mac WMV Playerが公開されています。

その後、Mac OS Xに対応したMicrosoft Silverlightがリリースされました。WMPとは独立したコンポーネントですが、Windows Media Audio/Videoコンテンツの再生をサポートしています。

バージョン表

各バージョンの詳細な情報は、別表を参照してください。

再生可能なファイル形式

WMPは、wma、mp3、wav、m4aなどの音声ファイルや、wmv、aviなどの動画ファイルの再生が可能です。プラグインを追加することで、さらに多くの形式に対応できます。ただし、WMPのバージョンによっては再生できない形式もあります。

まとめ

Windows Media Player Legacyは、長年にわたりWindowsユーザーに親しまれてきたメディアプレーヤーです。その歴史と進化を振り返ることで、メディア再生技術の変遷を理解することができます。現在では「メディア プレーヤー」にその役割を引き継ぎましたが、WMPはWindowsの歴史において重要な役割を果たしました。

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