X電車で行こう

『X電車で行こう』

『X電車で行こう』は、作家山野浩一による短編小説集であり、作品の中心を成す短編も同名で知られています。山野のデビュー作であるこの短編は、同人誌『宇宙塵』に初めて掲載され、その後1964年7月号の『S-Fマガジン』に再掲されました。この作品集は1965年に新書館から出版され、1973年には早川書房のハヤカワ文庫JAとして再版されました。

収録されている短編は多岐にわたり、その内容もまた多様です。たとえば「闇に星々」では、超能力を持つ女性が逃げる姿が描写されています。「雪の降る時間」という作品や「消えた街」、「赤い貨物列車」では、それぞれ独自の緊張感と謎を孕んだストーリーが展開されます。「赤い貨物列車」では、多くの乗客が同時に乗り込んだ列車内での殺人事件が焦点となり、サスペンスの要素が色濃い作品です。

また「恐竜」「列車」「X電車で行こう」では、日本各地での謎の幽霊列車・X電車の出現について描かれています。特に「X電車で行こう」では、目に見えない電車の存在が語られ、マスコミや警察に追われる主人公の姿が印象的に表現されています。

OVA化とその特徴

「X電車で行こう」は、1987年にOVAとしても制作されました。このアニメーションは、著名なジャズ音楽家デューク・エリントンの楽曲「A列車で行こう」をもじった題名からも分かるように、劇中音楽は山下洋輔が担当しています。監督のりんたろうは、原作者の承認のもとで大胆なストーリーの改編を行い、場面に吹き出しを使用する等、実験的な演出に挑戦しました。試写会では賛否が分かれたものの、作品のユニークさは広く評価されました。

あらすじの紹介

本作の物語は、日本各地で現れる幽霊列車・X電車に焦点を当てています。物語の中心人物である若者・西原トオルは、広告代理店で働いています。彼は、解体される予定の電気機関車EF5861に出会い、そこから不思議な運命に導かれます。この謎に満ちた列車の出現は、一体彼に何をもたらすのか、物語を通じて徐々に明らかになっていきます。

登場キャスト

OVAには以下のキャストが出演しています。西原トオル役に水島裕、落合ディレクター役に安原義人など、多彩な役者陣が集結しています。その他にもはせさん治や重田千穂子、山下啓介、勝生真沙子などが顔を揃えています。

スタッフ

制作には、りんたろうが監督を務め、脚本では浦沢義雄と共働しています。キャラクターデザインは兼森義則が担当し、美術監督は青木勝志が手掛けるなど、豪華なスタッフ陣が支えました。音楽は山下洋輔によって務められ、主題歌には矢野顕子が起用されています。

このように『X電車で行こう』は、短編小説としてもOVA作品としても、その独創性と楽しさで多くの人々を魅了し続けています。

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