XF-85 (航空機)

XF-85 ゴブリン (McDonnell XF-85 Goblin)

XF-85ゴブリンは、アメリカのマクドネル社によって開発された試作戦闘機で、冷戦時代においてB-36爆撃機の護衛を目的として構想されました。この機体は、超長距離爆撃機であるB-36の爆弾槽内に収納され、戦闘空域まで運搬される「パラサイト・ファイター」として設計されました。愛称の「ゴブリン」は、小鬼を意味し、独特なフォルムが印象的です。

概要

B-36ピースメーカーは長距離の飛行が可能ですが、その護衛のための戦闘機は航続距離において常に課題がありました。このため、B-36の爆弾槽に戦闘機を格納して運搬し、戦闘が始まった際には母機から発進するという発想が生まれました。初期の構想は1942年から始まりましたが、具体的な開発は1945年9月に入ってから加速し、1946年には実物大のモックアップが完成しました。

1947年に入ると、2機の試作機がXP-85として発注され、エンジンはウェスティングハウス製のXJ-34-WE-22が搭載されました。機体は全長約4.5メートルと非常に小型で、圧縮した円筒形の胴体を持ち、34度の後退翼を特徴としています。試作機は安定のため尾翼の枚数を増やし、最終的には6枚の尾翼を持つこととなりました。また、主翼の先端には方向安定板も追加されています。

1号機は1947年の10月に完成しましたが、初期の段階ではエンジンが装備されず、主に風洞試験に利用されました。一方、2号機は1948年7月よりEB-29Bスーパーフォートレスを母機として飛行試験を行い、8月には初の自由飛行を成功させましたが、母機への帰還には失敗し、ミューロック乾湖に不時着という結果になりました。その後、他のテストを重ねた結果、1949年には計画が中止されることが決定されました。

技術的課題

空中で母機に戻るための設計がなされていたため、XF-85には降着装置が装備されていませんでした。この代わりに緊急着陸用のスキッドが装着されており、特殊な設計が必要でした。しかし、飛行試験においては母機に再収容するのが難しかったこと、小型で異なる形状によって飛行性能が十分ではなかったことから、敵方の戦闘機に対抗するには不十分であるという評価が下されました。

代わりに、EF-84Dサンダージェットを活用した「Tip-Tow計画」が検討されましたが、空中給油技術の進展により通常の護衛戦闘機の航続距離が向上し、中止されることとなりました。

現在の状況

製造されたXF-85の試作機は全2機で、現在はそれぞれオハイオ州デイトンのアメリカ空軍博物館とネブラスカ州オマハの戦略空軍博物館で展示されています。この壮大な試みは、航空機技術の進化史の一部として、その技術的意義を語り継がれています。

スペック

• - 全幅: 6.4 m
• - 全長: 4.5 m
• - 全高: 2.5 m
• - 主翼面積: 8.3 m²
• - 空虚重量: 1,696 kg
• - 総重量: 4,550 kg
• - エンジン: ウェスティングハウスXJ-34-WE-22×1基
• - 推力: 13 kN
• - 最大速度: 1,069 km/h
• - 実用上昇限度: 15,000 m
• - 上昇率: 3,800 m/min
• - 固定武装: 12.7mm機銃×4
• - 乗員: 1名

このように、XF-85ゴブリンは多くの技術的挑戦を抱えていたものの、冷戦時代における戦闘機設計の一環として興味深い存在となっています。

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