XH-17 (航空機)

ヒューズ XH-17 フライングクレーンについて

ヒューズ XH-17 フライングクレーンは、ヒューズ・エアクラフトのヘリコプター部門によって開発された初めてのヘリコプターであり、1940年代後半にその設計が進められました。このヘリコプターは、主に重量物を吊り上げるために設計され、最大で50,000ポンド（約23,000kg）以上の荷物を運ぶ能力を持っています。

設計と開発の経緯

XH-17は特に重量物の吊り上げ能力を重視しており、15トン以上の荷物を持ち上げるための構造が採用されています。製造期間を短縮するため、他の航空機部品を流用するという斬新なアプローチが取られていました。具体的には、前輪部分にはノースアメリカン B-25 ミッチェルの部品、後輪はダグラス C-54 スカイマスターのものを使い、燃料タンクはボーイング B-29 スーパーフォートレスの後部爆弾倉内に装備されていた追加燃料タンクが利用されました。また、コックピットはウェイコ CG-15グライダーから流用され、テールローターはシコルスキー H-19の部品を使用しました。

1947年、ヘリコプターの設計案がヒューズ社に売却され、ケレッ氏がこの開発プロジェクトに深く関与しました。1948年になると、XH-17の設計が具体化し、1952年からはカリフォルニア州カルバーシティ上空での飛行テストが始まりました。1953年には、50,000ポンドを超える重量を持つ状態で飛行に成功し、当時の記録を打ち立てました。

技術的な特徴

XH-17は、回転翼の直径が134フィート（41m）と非常に大きく、そのため現在でも最大の回転翼直径を誇る航空機の一つです。エンジンは特異な推進方式を用いており、2基のジェネラル・エレクトリック製J35ターボジェットエンジンを使用。これにより、圧縮空気がローターハブを通じて供給され、効率的に動作しました。この方式による駆動では、ローターは毎分88回転という静かな回転数で作動します。

さらに印象的なのは、XH-17のテールローターが非常に小型である点です。これは、メインローターの駆動方式が先端駆動であるため、反作用トルクがほとんど発生しないためです。とはいえ、この独自のローター駆動方式は燃料効率が低く、航続距離はわずか40マイル（約64km）程度にとどまってしまいました。

最終原型とその評価

意欲的な開発の結果、XH-17は実際に製造されたのは一機のみで、その後の開発は続行されなかった理由の一因となりました。別の派生型であるXH-28が計画されましたが、重さ104,000ポンド（約47,000kg）という仕様は実現されることはなく、木製のモックアップだけで計画は中止されました。また、シコルスキー S-64 スカイクレーンやCH-54タルヘといった他のヘリコプターと同様に、XH-17はその使用方法や効率性について疑問視されることもありました。

主要性能

• - 乗員: 3名（操縦士、機関士、飛行試験技士）
• - 全長: 16.25 m
• - 全高: 9.17 m
• - 主回転翼直径: 39.62 m
• - 空虚重量: 12,956 kg
• - 全備重量: 14,184 kg
• - 最大離陸重量: 19,731 kg
• - 発動機: アリソン J35 ターボジェットエンジン × 2基
• - 最高速度: 145 km/h
• - 巡航速度: 137 km/h
• - 航続距離: 64 km

ヒューズ XH-17 フライングクレーンは、当時の航空技術の進展を象徴する機体であり、独特のデザインと技術的挑戦を持った伝説的なヘリコプターです。

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