XM29 OICW

XM29 OICW (Objective Individual Combat Weapon)

XM29 OICW（個人主体戦闘武器）は、1990年代にOICW計画の一環として開発された、20mm炸裂弾を発射可能な次世代個人携行火器の試作プロトタイプです。

概要

XM29は、アライアント・テックシステムズが開発元請、ヘッケラー&コッホ（H&K）が開発下請として開発を担当しました。

本銃は、セミオートマチック方式の20mm炸裂弾ランチャーと、5.56x45mm NATO弾を使用するH&K G36アサルトライフルを組み合わせた構造を持ちます。ランチャー上部には、一体型のレーザー測距装置、赤外線暗視装置、6倍まで調整可能な望遠スコープが装備されています。

開発初期段階では、ライフルとグレネードランチャーを横に並べて装着する形態で、後期型とは異なる外観でした。また、20mm炸裂弾ランチャー単体や、G36の代わりにH&K MP7を搭載した派生型も開発されました。

20mmランチャーは、高速で水平に射出される炸裂弾を使用します。従来のグレネードランチャーの弾道とは異なり、まるで小型砲の砲弾のように飛ぶため、「セミオート式20mmキャノン」や「空中炸裂弾ランチャー」など、様々な名称で呼ばれました。

しかし、重量やサイズ、20mm砲弾の威力不足などが問題となり、計画は中止されました。2004年の中止に際し、計画は以下の3つに分割されました。

1. 軽量兵器の開発: H&Kとアメリカ陸軍による試作アサルトライフルXM8がこの計画から生まれました。しかし、コルト社からの圧力によりトライアルに自社製品が参加することになり、XM8計画は白紙に戻されました。その後、米軍から以下の要求仕様が発表されました。
5.56x45mm NATO弾をセミ/フルオートで発射可能
有効射程150mの近接戦闘火器で小型携帯型であること
* モジュール交換で、有効射程500mのカービン型、スナイパーライフル型、射程600mまでの分隊支援火器型に改造可能
2. 単体兵器としての空中炸裂型グレネードランチャーの開発: この計画の結果、XM25 25mm炸裂弾ランチャーが開発されました。
3. 二つの兵器の再合体: 計画1と2が完了していないため、この計画はまだ開始されていません。

特徴

XM29は、マガジン給弾式の20mm炸裂弾ランチャーと5.56mmライフル銃で構成されています。2つの火器は一体化されており、標的捕捉・射撃管制システムが組み込まれています。これは、戦術コンピュータやヘッドアップディスプレイを駆使して相互通信を行う次世代陸上戦闘システム計画の一環として開発されたものです。

炸裂弾ランチャー

2002年初頭に開発された20mm炸裂弾（High Explosive Air Bursting）ランチャーは、ガス圧利用によるセミオート射撃が可能です。ブルパップ方式を採用し、着脱式の大型箱型弾倉をストックに装着します。砲身内部にはライフリングが施されており、20mm炸裂弾を1,000m以上飛ばすことができます。射撃コントローラーの大部分はライフル銃に組み込まれており、一つのトリガーでライフルと炸裂弾を撃ち分けることができます。また、ライフル無しでの運用を可能にするため、独立型のランチャーも開発されています。

XM29の上部には射撃管制システムが装備されており、レーザー測距装置で標的までの距離を測定し、弾が炸裂するまでの回転数を計算し、設定した距離で弾が炸裂するように信管を作動させます。弾は飛翔中に回転数を計測し、設定された回転数に達した時点で炸裂します。

これにより、敵に直接命中させなくても、敵の至近距離で炸裂させて殺傷することが可能です。遮蔽物に隠れている敵や塹壕に立て篭る敵に対しても、付近へ撃ち込むだけで殲滅できます。しかし、複雑な信管が組み込まれているため、砲弾一発の値段が非常に高価になるという欠点があります。

炸裂弾頭は前方と後方に炸薬が封入されており、その間に信管が組み込まれています。この20mm炸裂弾はXM29ランチャー専用の主要弾薬として考えられています。

現在、口径を25mmに拡大し、ランチャー単体で運用するXM25が開発されています。

標的捕捉/射撃管制装置

この装置は、昼夜兼用の暗視装置、レーザー測距装置、弾道計算コンピュータなどの先進機器を搭載しており、非常に高価で複雑な仕組みです。昼夜、天候状況を問わず敵を探知し、距離を測定し、それらの情報を砲弾の信管に入力します。射撃管制が故障した場合でも、ランチャー単体で従来のグレネードランチャーのように直接標的付近に着弾させて砲弾を炸裂させることも可能です。

費用とXM29の存在意義

テストの結果、XM29は従来型の個人携帯兵器よりも「最大で500%」高い効果が得られると評価されました。しかし、サイズや重量の問題から計画は中止されました。

プロトタイプのXM29の重量は5.5kgですが、実用運用では8kg以上になると予想されました。値段に関しても、「XM29のコンセプトは、兵士に高価な兵器を装備させることで予算的に部隊の編成を不可能にし、戦闘を防ぐものかもしれない」と皮肉られるほどでした。

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