XX (Vシネマ)
東映Vシネマ『XX』シリーズ
東映ビデオが1989年に立ち上げたオリジナルビデオ（Vシネマ）レーベルの中で、1993年から1998年にかけて特に人気を博したシリーズが『XX』（ダブルエックス）です。「レンタルビデオ店でしか見られない映画」というコンセプトのもと制作され、主演女優のエロス描写を主軸に、サスペンスやバイオレンスを融合させたハードボイルド作品群です。その内容から、公開当時は多くが映像倫によるR指定（中学生以下観賞禁止）を受けました。
監督には、日活ロマンポルノやピンク映画での経験を持つ小沼勝、池田敏春、斉藤信幸、片岡修二らが参加しました。主演女優のヌードを前提に、性的な描写や暴力、心理的な駆け引きに焦点が当てられています。シリーズは、『XX』と冠された7作品と、新たに「未体験の戦慄」をテーマに据えた『Another XX』4作品、合計11作品で構成されています。
『XX』シリーズ第1作『XX（ダブルエックス） 美しき凶器』は唯一劇場公開されましたが、以降は原則Vシネマでした。近年（例：2014年）には、Vシネマ回顧企画で『XX 美しき狩人』などが映画館で特別上映される機会もありました。
リリース形態は、当初ビデオカセットやレーザーディスク、一部ビデオCDで登場しましたが、2025年1月現在、全11作品がDVD化されています。作品タイトルには表記の揺れが見られますが、本項では作品内タイトルに準じます。
『Another XX』シリーズは、「未体験の戦慄」というテーマのもと、『XX』とは異なるエロス表現を目指した新シリーズです。前シリーズから、検死官の水木恭子（夏樹陽子）や売春グループリーダーの夏美（SHIHO）など、一部キャラクターが引き継がれて登場する作品もあります。
各作品紹介
『XX（ダブルエックス） 美しき凶器』（1993年）
政界フィクサーの依頼を受けた殺し屋たちが、標的の女性自身も殺し屋だと知る。彼女に返り討ちにされた依頼者たちの中で、新たな依頼を受けた坂上は、その女性と危険な関係を築き、秘密に迫るハードボイルド。
『XX（ダブルエックス） 美しき狩人』（1994年）
組織に追われる殺し屋・紫苑と、事件を追うカメラマン・伊東の逃避行。伊東との交流で人間らしさに触れる紫苑だが、組織の追跡は続くサスペンスアクション。
『XX（ダブルエックス） 美しき標的』（1994年）
横浜で多発する売春婦連続強姦殺人事件。検死官・水木恭子自身が犯人の標的となり、売春グループリーダー夏美と協力して犯人逮捕を目指すスリラー。
『XX（ダブルエックス） 美しき獣』（1995年）
香港黒社会の女殺し屋・蘭は、日本でヤクザ組長暗殺後、追われる。元ヤクザに匿われた蘭は、台湾マフィアらとの抗争の中、復讐を遂げようとするバイオレンスアクション。
『XX（ダブルエックス） 美しき獲物』（1996年）
暴行事件被害者の有名建築家の妻・ゆうと、事件担当の女性刑事・紀子。SM趣味を持つゆうの周辺で不審な出来事が続き、紀子は彼女の魅力に囚われながら真相を追うサイコスリラー。
『XX（ダブルエックス） 美しき機能』（1996年）
ボディーガード・シェリルは、護衛対象が愛した殺し屋・フクロウの標的だと知る。過去の因縁と現在の仕事の間で、シェリルは自身の運命を決める闘いに挑むハードボイルドサスペンス。
『XX（ダブルエックス） しなやかな美獣』（1997年）
秘密組織を脱走し、自殺願望を抱く殺し屋・紫苑。逃亡中に男・毒島と修道女アカネと行動を共にする。教団の秘密を知った紫苑は、自身の過去と対峙するバイオレンスサスペンス。
『Another XX 赤い殺人者』（1996年）
猟奇連続殺人事件を追う検死官・水木恭子。被害者の婚約者や捜査に関わる中で事件の闇に迫るが、自身も危険に陥る。複雑な人間関係の中で真相を追うサスペンス。
『Another XX 黒い追跡者』（1997年）
連続強姦事件被害者が検死官・水木恭子のもとへ。売春グループリーダー夏美の知人も被害に遭い協力。自身も襲われた恭子は、経験から意外な真相に迫るクライムサスペンス。
『Another XX 狂愛』（1997年）
異常性愛小説作家の周辺でホテトル嬢連続殺人事件。担当刑事・加賀美英子は、複雑な家庭環境と作家との関係の中で、事件の陰の狂気を追うサイコスリラー。
『Another XX マトリの女』（1998年）
麻薬取締官・葉子は潜入捜査。情報伝達役殺害事件を追う中で、協力者のヤクザと危険な関係を築く。壮絶な状況下で組織の深部へ迫るクライムサスペンス。
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。