成田裕介

成田 裕介（なりた ゆうすけ）は、1953年3月21日生まれ、秋田県出身の日本の映画監督、および大阪芸術大学教授、日本映画監督協会理事を務める人物です。本名は裕一。

来歴

秋田県立秋田高校を卒業後、映画の世界に入る前に約20種類にも及ぶ様々な職を経験しました。この多様な経験が、後の作風に影響を与えた可能性が考えられます。

映画界でのキャリアは、1976年に若松孝二監督が主宰する若松プロダクションに参加したことから始まります。ここでは映画製作の現場に触れ、基礎を学びました。その後はフリーランスとして活動の場を広げ、工藤栄一氏、加藤泰氏、崔洋一氏といった日本映画界を代表する監督たちの下で助監督を務め、演出や撮影における実践的な知識・技術を習得しました。

監督としてのデビューは、1987年に人気テレビドラマシリーズ『あぶない刑事』の第20話「奪還」でした。この作品で初めて単独で演出を手がけ、以降、同シリーズの多くのエピソードを担当し、監督としての地位を確立しました。テレビドラマでは他に、『ベイシティ刑事』（1987年）、『もっとあぶない刑事』（1988年）、『あいつがトラブル』（1989年）、『勝手にしやがれヘイ!ブラザー』（1989年）、『刑事貴族2, 3』（1991年, 1992年）、『俺たちルーキーコップ』（1992年）、『裏刑事-URADEKA-』（1992年）、『湘南女子寮物語』（1993年）、『静かなるドン』（1994年）など、数多くの作品でメガホンを取りました。

映画監督としては、1989年に公開されたオムニバス映画『バカヤロー!2 幸せになりたい。』の一編「女だけトシとるなんて」で初めて長編映画の演出を担当しました。その後も精力的に活動し、Vシネマ版『BE-BOP-HIGHSCHOOL』シリーズや、『新・湘南爆走族』シリーズといった、人気シリーズの続編や関連作品を多く監督したことが特徴として挙げられます。その他の代表的な映画作品には、『六本木バナナ・ボーイズ』（1989年）、『凶悪の紋章』（1990年）、『あぶない刑事フォーエヴァー THE MOVIE』（1998年）、『嫌な奴。 bitch!』（2001年）、『あのこがほしい』（2005年）、『花と蛇3』（2010年）などがあります。

また、1999年には、脳出血から復帰して映画『御法度』の製作にあたっていた巨匠、大島渚監督の依頼を受けて監督補佐を務めました。現場で大島監督をサポートし、作品完成に貢献したことは、彼のキャリアにおける重要なエピソードの一つです。

近年は、映画やテレビの監督業に加え、教育者としての活動にも力を入れています。宝塚大学（現在は大阪芸術大学）で教授として教鞭を執り、自身の経験や知識を次世代の映像作家たちに伝えるべく、後進の指導・育成に尽力しています。さらに、日本映画監督協会の理事も務めており、映画界全体の発展にも貢献しています。

監督としての多様なキャリアと、教育者としての活動を通じて、日本の映像文化に貢献し続けている人物です。

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