YAMATO (アルバム)

長渕剛のベストアルバム『YAMATO』：映画とのコラボレーションとキャリアの軌跡

2005年10月19日、長渕剛の6枚目のベストアルバム『YAMATO』がフォーライフミュージックエンタテイメントよりリリースされました。前作のベスト盤から約3年4ヶ月ぶりとなる本作は、長渕剛と角川春樹氏による共同プロデュースという異色の体制で制作されました。

このアルバムのリリースは、角川春樹監督の映画『男たちの大和/YAMATO|男たちの大和_YAMATO』（2005年）の主題歌制作依頼がきっかけでした。角川監督は長渕剛の楽曲「親知らず」を気に入り、主題歌の制作を依頼。この依頼を受けて、長渕剛は東芝EMI所属時代の楽曲も含めた選曲を行い、ベストアルバムとして発表することを決定したのです。

選曲には、映画『男たちの大和/YAMATO|男たちの大和_YAMATO』の主題歌「CLOSE YOUR EYES」と挿入歌「YAMATO」が収録されていることが大きな特徴です。一方、直前にリリースされたシングル「金色のライオン」は収録されていません。全楽曲は24bitデジタルリマスタリングが施され、音質にもこだわった作品となっています。オリコンチャートでは最高位6位を記録、9.4万枚の売上を達成しました。

制作に至るまでの道のり：精力的な活動

『YAMATO』のリリースに至るまで、長渕剛は精力的な活動を続けていました。2003年には全国規模のライブツアー「LIVE 2003 KEEP ON FIGHTING」を開催。ツアーの様子を収めたライブDVD『Keep On Fighting LIVE 2003 夏』もリリースされました。同年には森進一への楽曲提供や、13年ぶりとなるNHK紅白歌合戦への出演など、多岐にわたる活動を展開しています。

2004年には詩画展を開催し、多くの観客を動員。さらに、自身へのトリビュートアルバム『Hey ANIKI!』がリリースされ、その中からシングル「しあわせになろうよ'04」も発売されました。同年には桜島での大規模なオールナイトコンサートを開催し、その模様を収めたライブアルバムとライブDVDもリリースしています。そして、年末にはシングル「金色のライオン」を発表。この曲は京セラの携帯電話のCMソングとして起用され、長渕剛自身がCMに出演しました。

2005年4月、長渕剛は角川春樹氏と会合を持ち、映画『男たちの大和/YAMATO|男たちの大和_YAMATO』の主題歌制作を正式に依頼されます。この出会いが、『YAMATO』というベストアルバムの制作へと繋がっていったのです。同年8月には映画主題歌のシングル「CLOSE YOUR EYES/YAMATO|CLOSE YOUR EYES_YAMATO」がリリースされました。

アルバムの内容と反響

『YAMATO』には、「静かなるアフガン」、「CLOSE YOUR EYES/YAMATO|CLOSE YOUR EYES_YAMATO」といったシングル曲に加え、『HOLD YOUR LAST CHANCE』、『昭和』、『JEEP』、『JAPAN』、『Captain of the Ship』、『いつかの少年』、『ふざけんじゃねぇ』、『SAMURAI』、『Keep On Fighting』、『長渕剛 ALL NIGHT LIVE IN 桜島 04.8.21』といったアルバムからの選りすぐりの楽曲が収録されています。CD2枚組で、さらに「CLOSE YOUR EYES」と「YAMATO」のPVを収録したDVDも付属した豪華仕様となっています。

音楽情報サイト『CDジャーナル』では、選曲と熱いメッセージ性の高さが評価されました。しかし、文芸雑誌『文藝別冊 長渕剛 民衆の怒りと祈りの歌』では、オリジナルアルバムを期待していたファンからは必ずしも歓迎されなかったという意見も紹介されています。それでも、ベストアルバム『いつかの少年』以降の楽曲も含まれ、収録曲のボリュームやその存在意義は高く評価されているとされています。

プロモーションとツアー

『YAMATO』リリース後、長渕剛はテレビ朝日系報道番組『報道ステーション』に初出演し、「CLOSE YOUR EYES」を歌唱しました。さらに、本作を引っ提げたコンサートツアー「LIVE TOUR 2005 YAMATO」を全国6都市9公演で開催。ツアーファイナルの日本武道館公演の模様は、ライブDVD『YAMATO 大和魂』としてリリースされています。

スタッフクレジット

プロデューサー：長渕剛、角川春樹
マスタリング・エンジニア：相川洋一
そして、多くのスタッフの協働によって完成した、長渕剛のキャリアを凝縮したベストアルバム『YAMATO』は、彼の音楽史において重要な位置を占める作品となっています。

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