Ytv京橋ビル

ytv京橋ビル：読売テレビ放送の旧本社

ytv京橋ビルは、大阪市中央区の大阪ビジネスパーク（OBP）に位置する建築物です。1988年8月から2019年まで、読売テレビ放送（ytv）の2代目本社として、長年にわたり放送事業の中核を担ってきました。

歴史

読売テレビは、1958年に大阪市北区岩井町（現在の東天満1丁目）で放送を開始しました。その後、大阪砲兵工廠跡地の一部がOBPとして再開発されることになり、1980年から土地区画整理事業が始まりました。

1985年、当時の社長であった青山行雄が新社屋の建設を発表し、建設委員会と推進委員会が発足。建設地はOBPの北東端、寝屋川を挟んで京橋駅に近い場所で、1986年4月2日に起工式が行われました。この日は大阪で桜の開花が宣言された日でもありました。総工費は約190億円、約2年の工期を経て1988年4月18日に竣工しました。

竣工に先駆け、同年6月には第3スタジオで『2時のワイドショー』の制作が開始。7月から移転作業が進められ、7月31日深夜には主調整室が新社屋に移転し、すべての移転作業が完了しました。8月1日午前6時には、生駒送信所に送られる電波が旧社屋から新社屋へと切り替えられました。同年8月20日には、読売テレビの社員とその家族が集まり、「新社屋披露・社員と家族の集い」が開催され、坂本冬美やディズニー・オン・アイスのキャラクターが登場し、盛大に祝いました。この年の8月には、スポットCMの売上高が関西テレビ放送を上回り、10年4か月ぶりに在阪テレビ局で首位を獲得しました。

しかし、自社制作番組の拡充による人員増加や、空調機器、放送機器の更新時期が近づいたことから、OBP内で新たな本社ビルを建設することが決定されました。新社屋はシアターBRAVA!跡地に建設され、2016年10月27日に着工、竹中工務店の施工により2019年1月31日に竣工しました。同年9月1日には新社屋からの放送が開始され、それまでの本社ビルは「ytv京橋ビル」と名称を変更しました。

2020年5月7日には、パナソニックの社内カンパニーであるコネクティッドソリューションズ社（現パナソニック コネクト株式会社）モバイルソリューションズ事業部およびストレージ事業開発センターがytv京橋ビルに入居しました。実験設備導入にあたって耐荷重の要件がありましたが、テレビスタジオとして設計された本ビルはその要件を満たしていました。OBPの街開きに松下幸之助が関わっていたことも、パナソニックが進出を決めた理由の一つです。

建築

ytv京橋ビルの設計は日建設計と鹿島建設が担当し、鹿島建設が施工しました。建物は大型テレビスタジオを主体とする低層棟と、事務室などが入る高層棟で構成されています。外装はプレキャストコンクリート、打ち放しコンクリート、ガラス繊維補強セメントなどが組み合わされ、デザインの統一感が図られています。高層棟上部にはパラボラアンテナが外装の一部として組み込まれており、特徴的な外観を形成しています。建物内部は自然採光や天然木を取り入れるなど、快適な執務空間となるように工夫が凝らされています。

2002年4月からは、社屋の5階と6階で増築工事が行われました。6階は幅30mの無柱空間を設け、制作・スポーツ・報道の制作部門を集約し、さらに編成部門を配置した「スーパーコンテンツフロア」となりました。5階は編集、MA、CG、データ放送、ライブラリー部門などを集約した「コンテンツ加工フロア」とし、直通階段で接続しました。生放送を行うスタジオの直上という難しい条件の中、同年11月1日に工事が完了しました。

本建物は、1989年に第30回BCS賞を受賞しています。また、2019年に竣工した3代目社屋も第65回BCS賞を受賞しており、読売テレビの建築物に対するこだわりがうかがえます。

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