Z/OS

z/OS：IBMメインフレームを支える堅牢なオペレーティングシステム

z/OSは、IBMが2001年にリリースしたメインフレーム向けオペレーティングシステムです。1966年のOS/360|OS_360から続く歴史を持つ、IBM System zシリーズで動作する大規模システム向けの基幹OSとして広く利用されています。その信頼性と安定性から、製造、金融、流通、運輸、公共機関など、ミッションクリティカルなシステムにおいて重要な役割を担っています。

z/OSの特徴

堅牢性と信頼性: OS/360|OS_360以来の長い歴史と、数多くの現場での運用実績に基づく高い信頼性と可用性を誇ります。長年にわたる改良と最適化により、安定したシステム運用を実現し、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。

64ビットアーキテクチャ: 64ビットアドレッシングに対応することで、大規模なデータ処理や複雑なアプリケーションの実行を可能にしています。また、将来的な拡張性にも対応できる設計となっています。

オープンスタンダードのサポート: UNIX、TCP/IP、Javaなどのオープンスタンダード技術を幅広くサポートすることにより、様々なアプリケーションや周辺機器との連携を容易にしています。これにより、システムの柔軟性と拡張性が向上し、多様なニーズに対応できます。

仮想化技術: 物理分割(PPAR)、論理分割(LPAR)、ソフトウェア分割(z/VM)といった仮想化技術により、1台のメインフレーム上で複数のz/OSを同時に稼動させることができます。リソースの効率的な利用と、システムの柔軟な構成を実現します。さらに、MVS以来の多重仮想記憶により、複数のアドレス空間を安全に隔離し、高いセキュリティと安定性を確保しています。

拡張性と互換性: z/OSは、以前のOSであるOS/390|OS_390やMVSとの上位互換性を維持しており、既存システムからの移行がスムーズに行えます。また、継続的な機能拡張により、最新の技術やニーズに対応し続けています。

z/OSの主要コンポーネント

z/OSは、以下の主要コンポーネントから構成されています。

IOCP (入出力構成): 入出力デバイスの制御と管理を行います。
DFSMS (データ管理): データのストレージと管理を効率的に行うためのシステムです。
JES2/JES3 (ジョブ制御システム): バッチジョブの処理や制御を行います。
WLM (ワークロード管理): システムリソースを効率的に管理し、アプリケーションのパフォーマンスを最適化します。
Communication Server: ネットワーク通信を管理します。
TSO/ISPF/SDSF: 対話型処理やシステム管理を行うためのインターフェースです。
LE (言語環境): 様々なプログラミング言語のコンパイラやランタイム環境を提供します。
UNIX System Services (USS): UNIX互換環境を提供し、UNIXアプリケーションの実行を可能にします。

z/OSで動作する主要ミドルウェア

CICS
IMS
DB2
WebSphere Application Server
MQ
Lotus Notes
TWS

z/OSのバージョン履歴

2001年以降、z/OSは継続的にバージョンアップされ、機能強化やパフォーマンス向上、セキュリティ強化が図られています。主なバージョンとリリース時期、主要な機能拡張は以下の通りです。（詳細は割愛）

2001年3月: z/OS V1R1
2001年9月: z/OS V1R2
2002年3月: z/OS V1R3
2002年9月: z/OS V1R4
2004年3月: z/OS V1R5
2004年9月: z/OS V1R6
2005年9月: z/OS V1R7
2006年9月: z/OS V1R8
2007年9月: z/OS V1R9
2008年9月: z/OS V1R10
2009年9月: z/OS V1R11
2010年7月: z/OS V1R12
2012年6月: z/OS V1R13
2013年9月: z/OS V2R1
2015年9月: z/OS V2R2
2017年9月: z/OS V2R3
2019年9月: z/OS V2R4
* 2023年8月: z/OS v3.1

まとめ

z/OSは、その高い信頼性、安定性、拡張性により、大規模システムにおける基幹OSとして重要な役割を担っています。64ビットアーキテクチャ、オープンスタンダードのサポート、仮想化技術など、最新の技術を取り入れながら進化を続け、現代のビジネスニーズに応えています。

もう一度検索